自宅兼事務所とは?
自宅兼事務所とは、自宅の一部をビジネスの拠点とした職場のことです。 基本的に、商品の在庫を抱える必要がない方や、パソコンとインターネット環境があれば業務を遂行できる方などであれば検討できます。 一般的なオフィスのように、パソコンやインターネット環境、プリンター、デスク、チェアなど、ビジネスに必要な環境を自分でそろえます。 新たに会社を設立するときにも、自宅を事務所として開業できます。 会社設立登記の申請時に、本店所在地を自宅の住所として記載すれば、自宅が本店所在地として認められます。自宅兼事務所のメリット
自宅兼事務所の働き方にはどのような魅力があるのでしょうか。自宅兼事務所のメリットを解説していきます。メリット1.交通費や移動時間が発生しない
自宅から離れたカフェや図書館、オフィスで仕事をする場合、自動車の燃料代や電車賃などの交通費が発生します。 自宅兼事務所であれば、自宅から離れた事務所に通勤する必要がなく、交通費が発生しません。 交通費を削減できる分、事務所の環境に設備投資しやすくなるので、より快適に働きやすくなるでしょう。 自宅兼事務所であれば、交通費だけでなく移動時間が発生しない点もメリットです。仮に1日あたり通勤に往復で1時間かかる職場があるとしましょう。週5日勤務する場合、1週間で5時間、1か月で約20時間の通勤時間が発生します。 その場合、自宅兼事務所の働き方に変更すれば、1か月で20時間ほど仕事に費やせる時間が増えます。メリット2.開業資金を節約できる
一般的にオフィスを利用するには賃料が発生します。ビジネスが軌道にのっていない開業段階では、賃料の負担は重荷となってしまいがちです。 その点、自宅兼事務所であれば賃料が発生しません。開業資金を節約できるので、事業の拡大に専念しやすいです。メリット3.職場環境を自由にカスタマイズできる
一般的なオフィスでは、事務所を上司や従業員などと共用するので、職場環境を自由に変更できません。使いづらいデスクやチェアなどに我慢する場面もあります。 その点、自宅兼事務所であれば職場を自分の思い通りにカスタマイズできます。便利な家具やオフィス機器を導入できるだけでなく、使いやすいレイアウトにも調整可能です。メリット4.家事や育児などを行いやすい
オフィスに勤務する場合だと、自宅に帰るまで家事や育児などに対応できません。その点、自宅兼事務所であれば自宅で働けるので、家事や育児に柔軟に対応できます。 たとえば、仕事が終わったあとにすぐに夕食の準備を始められます。また、小さな子どもがいる場合、体調の変化にも気づきやすくなり、病院にすぐにつれていけます。 家事や育児が理由で仕事を始められない方でも、自宅兼事務所であれば働きやすいでしょう。メリット5.いつでも好きな時に働ける
個人事業主として働く場所は、自宅以外にもさまざま検討できます。しかし、一般的な施設は自宅とは違って、営業時間の制限があります。いつでも好きな時間に働けるわけではありません。 たとえば、カフェは夜に閉店してしまい、図書館であれば夕方に閉館してしまいがちです。仕事が途中でも帰宅しなければなりません。その点、自宅兼事務所であれば夕方以降でも夜遅くまで仕事できます。朝起きるのが苦手な方であれば、昼間から夜にかけて仕事をする働き方も検討可能です。 反対に、仕事を早く切り上げて夕方以降の自由時間を増やしたい方もいるでしょう。その場合、早朝から仕事を始めることも検討できます。自分のライフスタイルに応じて、いつでも好きな時間に働けるのは大きなメリットです。自宅兼事務所のデメリット
自宅兼事務所の環境はメリットばかりではありません。自宅兼事務所のデメリットもチェックしておきましょう。デメリット1.プライベートを確保しづらくなる
自宅を事務所とすれば、社員や顧客などの出入りが生じるので、プライベートを確保しづらくなります。 夜間や休日の連絡、突然の来訪などが発生するケースもあり得ます。結果として仕事の時間が増えてしまい、休息を取りづらくなってしまう可能性が高いです。デメリット2.個人情報が伝わってしまう
自宅を本店所在地として登記したとき、誰でも自由に住所を閲覧できるようになります。 また、会社のホームページで法人としての住所を公開するときも、自宅の住所を知られてしまうことになります。 個人情報が第三者に伝わってしまうことに不安がある方であれば、落ち着いて働けないでしょう。デメリット3.仕事に集中しづらいことがある
一人暮らしでなく家族と暮らしている場合だと、会話や物音などが聞こえてしまって仕事に集中しづらくなります。ペットを飼っている場合も鳴き声や様子が気になってしまうでしょう。 また、自宅にはテレビや雑誌、食べ物などがあるので、小休憩が増えてしまいがちです。自分に厳しい人でなければ仕事の効率が低下してしまうでしょう。デメリット4.顧客からの信用を得にくい
一般的に事務所を借りているほうが、資金に余裕があって、ビジネスがうまくいっているように見えます。 その点、仕事の拠点が自宅だと事業を始めたばかりだと思われたり、事業の規模が小さいと思われたりする可能性があります。 顧客からの信用が下がってしまうと、取り引きが成立する可能性も減ってしまうでしょう。デメリット5.人との交流が少なくなってしまう
自宅兼事務所だと、自宅から外出しなくても仕事ができるので、人との交流が少なくなってしまいます。 ビジネスの最新情報を入手できないと、利益を生み出すチャンスを失ってしまいかねません。 新聞やビジネス雑誌を購読したり、テレビのニュースを視聴したりするなど工夫が必要です。自宅兼事務所の職場環境を整備するときのポイント
自宅兼事務所では職場環境を自由に調整できますが、失敗すると働きづらくなってしまいます。自宅兼事務所の職場環境を整備するときに押さえておくべきポイントを解説していきます。ポイント1.作業しやすい広さを確保する
自宅兼事務所では、作業するのに十分な空間を確保することが大前提です。 ”第二条 事業者は、労働者を常時就業させる室(以下「室」という。)の気積を、設備の占める容積及び床面から四メートルをこえる高さにある空間を除き、労働者一人について、十立方メートル以上としなければならない。” 引用:事務所衛生基準規則 第二条(e-Govポータル) 事務所衛生基準規則では、設備を占める容積を除いて一人あたり10m³以上を確保すべきとされています。ポイント2.作業に応じた明るさに調整する
自宅兼事務所では、作業しやすい明るさに調整することも大切です。 ”事業者は、室の作業面の照度を、次の表の上欄に掲げる作業の区分に応じて、同表の下欄に掲げる基準に適合させなければならない。ただし、感光材料の取扱い等特殊な作業を行なう室については、この限りでない。”作業の区分 | 基準 |
精密な作業 | 三百ルクス以上 |
普通の作業 | 百五十ルクス以上 |
粗な作業 | 七十ルクス以上 |