名刺を作る際、住所などの個人情報をどこまで載せるかは難しい問題です。個人事業主やフリーランスとして独立するときには名刺を作成しますが、企業の名刺と同じように住所や電話番号まで記載しなければならないのか、迷ってしまう人もいるでしょう。プライバシーの問題もあるため、個人情報の扱いに注意して名刺を作ることが大切です。
この記事では、名刺を作る際に住所を載せるかどうかの基準と、住所を載せたくない場合の4つの対処法を紹介していきます。個人事業主やフリーランスが名刺を作る際のポイントについても解説していますので、詳しく知りたい方はぜひお読みください。
名刺を作るとき住所は載せるべき?
結論から言うと、名刺を作る際に住所は必ずしも載せる必要がありません。名刺は、フォーマットや記載が必要な事項は決まっている訳ではなく、基本的に自由に作成可能です。
会社員から独立した人など、住所が掲載されている名刺に慣れている人は、住所のない名刺に違和感を感じるかもしれません。ただ、名刺はさまざまなシーンで多くの人に配ることが前提です。あらゆる個人情報を差し出す必要はないことを覚えておきましょう。
名刺に住所を載せないメリット・デメリット
住所なしの名刺を作る際は、メリットとデメリットの両方を押さえた上で作成することが大切です。ここでは、名刺に住所を掲載しないメリットとデメリットについて詳しく解説します。
名刺を住所なしで作るメリット
名刺に住所を入れないメリットとしては、下記点が挙げられます。
- プライバシーを保護できる
- 不特定多数の人に個人情報が流れる心配がない
名刺に住所を記載しない最大のメリットは、住んでいる場所を特定されない点です。特に、女性の一人暮らしや子供のいる家庭などでは、面識の少ない人に住所を公開することでプライバシー保護へのリスクが出てきます。
渡した相手が名刺をうっかり紛失してしまったなどで、どこかで記載情報が漏れてしまう可能性も否めません。名刺に記載されている個人情報の悪用やなりすまし、営業用DMの不当な勧誘といったリスクを避ける目的でも、住所を表記しない方が良いでしょう。
名刺を住所なしで作るデメリット
一方で、名刺に住所を載せていないことによって、下記のようなデメリットも考えられます。
- 契約書などの郵便物を受け取れない
- 取引先によっては信頼度に影響する
名刺に住所が載っていないと、郵便物を受け取ることはできません。契約書や企業秘密書類などを扱う場合、名刺に住所があるとやりとりがスムーズです。必要に応じて、後で住所を伝える手間が発生する点はデメリットといえるでしょう。
また、企業によっては住所=会社・事業の所在地という認識が強く「名刺に住所がないと信用性に欠ける」と契約に応じてくれないケースもありえます。
名刺に住所を載せたくないときの対処法4つ
では、プライバシーの観点から名刺を作る際に住所を載せたくないときには、どのような対処法が取れるのでしょうか。下記4つの対策方法を紹介します。
- 住所を記載した名刺と記載しない名刺の2種類を用意する
- 載せる住所を町名までに限定する
- 本格的な契約の段階で伝える
- バーチャルオフィスやレンタルオフィスを利用する
1. 住所を記載した名刺と記載しない名刺の2種類を用意する
住所を載せた名刺と載せない名刺など、複数の名刺を用意する方法です。初対面の相手や気軽なコミュニケーションの場では住所を載せない名刺を使い、契約書を交わす企業の担当者や取材先などで渡す名刺は住所付きを出す、といった具合です。
渡す相手やシチュエーションに応じて名刺を使い分けることで、住所などの個人情報を闇雲に公開せずに済みます。今後やりとりが発生するかもしれない段階でも、メールアドレスと電話番号、名前など連絡を取るために必要な情報は伝えられるでしょう。
2種類の名刺を作る手間が発生するものの、プライバシー保護を徹底して安心して仕事をするためにも有効な手段のひとつです。
2. 載せる住所を町名までに限定する
名刺を作る際に、住所は載せても市区町村名までに限定することも可能です。番地やマンション名、部屋番号などは省略しておけば、自宅が特定されにくくなります。また、住所の一部が記載されているため、必要以上に信用性が下がる心配もないでしょう。
書類の送付などで正確な住所が必要になった場合は、個別連絡で対応します。名刺上に住所が載っていないことの影響が不安な場合も、住所の途中まで記載しておくと良いでしょう。
3. 本格的な契約の段階で伝える
本格的な契約や取引に入った段階で、住所の入った名刺を交換するという対策もできます。名刺を差し出すシーンは、初対面など相手の情報が少ないタイミングがほとんどです。相手が信頼できるかわからないと、個人情報を公開すべきか迷うでしょう。契約書を交わし、今後取引することがが決まった段階なら、安心して名刺を渡すことができます。
4. バーチャルオフィスやレンタルオフィスを利用する
バーチャルオフィスやレンタルオフィスを利用する方法も便利です。バーチャルオフィスとは仮想の事務所のことで、仕事用として住所だけを間借りできます。サービスによっては郵便物の転送や電話番号の登録、貸し会議室の利用権利などのオプションが利用可能です。
レンタルオフィスとは、名前のとおりオフィス場所を借りられるサービスです。個人向けのブースやデスク、個室などをスモールオフィスとして活用できます。多くのレンタルオフィスやコワーキングスペースでは、郵便物の受け取りやIP電話サービスなどが付いているので、仕事用の住所や電話番号を名刺に載せたい人にも最適です。
「Re:ZONE」のスモールオフィスは、関西3府県に全16の拠点を持つレンタルオフィスサービスです。個人事業主やフリーランスに最適なオフィススペースを完備しており、全オフィスで郵便物の受け取りサービスが利用できます。防犯カメラやスマートロックなどを導入し、高いセキュリティを確保しています。低コストで使い始められるレンタルオフィスをお探しの方は、ぜひ「Re:ZONE」スモールオフィスの詳細を公式サイトでチェックしてください。
個人事業主やフリーランスが名刺を作る際のポイント
ここで、個人事業主やフリーランスが名刺を作る際のポイントを紹介します。住所の有無だけでなく、ビジネスに使う名刺には最低限必要な情報や適したフォーマットの特徴などがあります。名刺を作る際にはぜひ参考にしてください。
名刺に載せるべき最低限の基本情報
仕事用の名刺には、最低限の基本情報は載せておきましょう。名刺に記載する情報を最低限に絞りたい場合は、下記だけでも問題ありません。
- 氏名
- 法人名(会社名・所属団体)
- 役職・肩書き
- メールアドレス
- WebサイトURL
追加であると良いとされる一般的な情報は、下記のとおりです。
- 電話番号
- Twitter・FacebookなどSNSアカウント
- LINE
- 事務所や店舗の営業時間・定休日
- ロゴ
- デジタル読み取り用のQRコード
名刺の用途と活用シーンに応じて、記載する情報を選ぶことが大切です。
難しい漢字や読みにくい箇所にはふりがなを付ける
氏名や法人名に難しい漢字や読み間違えられやすい漢字がある場合は、ふりがなをつけましょう。あるいは、アルファベット表記を添えておくと、名刺を受け取った相手がスムーズに読むことができます。渡す相手への配慮も名刺作りでは大切です。
デザイナーやイラストレーターは作品や作風をアピール
個人事業主やフリーランスにとって、名刺は自分の事業の宣伝も兼ねています。仕事内容やスタンスを反映したものを作りましょう。特に、Webデザイナーやイラストレーターは、自分の作品や作風を名刺にも取り入れると効果的にアピールできます。
同じWebデザイナーでも、女性らしい華やかさで明るい雰囲気が得意なのか、士業のサイトなどビジネスライクで堅めのスタイルが多いのかで、適した名刺のテイストは異なります。名刺と業務内容の方向性を一致させることで、受注につながりやすくなるでしょう。イラストレーターなら、過去に制作した作品や自分の似顔絵イラストなどを小さく入れると印象を残せます。
名刺はテンプレートから作れる!自分で名刺を作成する方法
住所なしの名刺は、自分で制作することも可能です。名刺の主な作成方法としては下記の4つがあります。
- 印刷通販に依頼する
- Wordテンプレートで作る
- 名刺用テンプレートを使う
- 名刺作成ツールやアプリを使う
最も手軽に名刺を作る方法は、印刷通販に依頼する方法です。名刺に掲載する情報やデザインがあれば、枚数や紙の種類を指定するだけで後日手元に届きます。シンプルな名刺ならWordに収録されている名刺用テンプレートで十分対応できます。
豊富なデザインから名刺を選びたい場合は、名刺用テンプレートを活用しましょう。テンプレートBankや印刷業者などのサイトで公開されています。CanvaやBizi Cardといった名刺作成ツールやアプリを活用すると、より凝ったデザインの名刺を作成できます。オリジナリティのある名刺を作りたい場合に便利でしょう。
名刺を住所なしで作る値段は?費用を安く抑える方法
住所なしの名刺を作る際には費用相場を把握しておきましょう。名刺制作にかかるコストの相場は、下記の通りです。
- デザイン料:5,000円〜5万円
- 印刷代+台紙代:1,000円〜8,000円/100枚あたり
一から名刺を制作する場合は、デザイナーやデザイン会社へ別途デザイン料を支払う必要があります。印刷代には台紙代も含まれていることが多く、台紙の種類や印刷が必要な面数などで金額は異なります。
片面のみのモノクロ印刷が最も安く、カラー印刷や両面印刷を選ぶと金額は上がります。円形や欧米サイズ、二つ折りなど特殊な台紙を希望する場合、上記よりも高額になるでしょう。
住所表記の有無によって名刺の費用が変わることはほとんどありません。全体のデザインや文字の配置、フォントなどを考える段階で、コストも念頭に置いておきましょう。
名刺を作る費用を抑えるには
名刺の制作費用を抑えるためには、いくつか有効な方法があります。まず、デザイン料を抑えるために、先述した名刺テンプレートや名刺作成ツールを使いましょう。自分でデザインを決めて、印刷だけ業者に依頼すれば、デザイン料はかかりません。
印刷代を抑えるためには、モノクロとカラー、片面と両面をうまく組み合わせましょう。メインの情報を記載した面のみカラーにすることも可能です。また、紙質によっても金額は変わるため、マット紙やコート紙といった一般的な名刺用紙が割安です。近年では、デザインから印刷までを一括発注することで割引になる名刺ショップも多いため、活用を検討してみましょう。
なお、最短数時間で名刺が届くスピード印刷プランは、追加料金が設定されています。余裕を持って名刺を発注することも、コスト節約のポイントです。
名刺を作る際によくある質問
ここで、名刺を作る上でよくある質問とその回答をセットで紹介します。新しい名刺を作る際にはぜひ参考にしてください。
名刺に住所を複数載せてもいい?
名刺に住所を記載する場合は、1つまでに絞るのが理想的です。多数の情報が記載されていると、仕事内容や連絡先といったポイントが埋もれてしまう可能性があります。
複数の部署に所属する会社員や、複数の法人経営者など記載する住所が複数ある人でも、名刺を使う場面ではいずれか1つの役割に関係するケースが多いはずです。肩書きごとに名刺を作成して、相手に合わせて使い分けることが望ましいでしょう。
名刺の住所を英語表記にしたい場合の方法は?
海外のクライアント用など、英語表記の名刺を作っておくと便利な場合があります。名刺単体でなくても、日本語表記の名刺の裏面に、英語表記を印字する方法も有効です。
英語の名刺に記載する情報は、基本的に日本語をローマ字読みに変換します。氏名は名前、名字の順で記載し、住所は狭い地域から郵便番号、国までを使います。電話番号は、最初の0の代わりに+81を付けることで、国際電話用の番号になります。
名刺の住所を変更する際シールは使っていい?
名刺の住所を変更する際に、訂正シールを貼り付けても問題ありません。ただ、修正テープを使って書き換えるより、正しい情報を印字したラベルシールだと仕上がりがきれいで、ビジネスマナー的にも無難です。また、変更作業が簡単なので短時間で効率的に完了します。
住所など名刺に記載されている情報を変更する場合は、時間的な余裕と変更する内容の重要性によって適したやり方は変わります。時間がない場合は手書きでも構いませんが、手渡しする相手に一言謝罪の念を添えるのがビジネスマナーです。
氏名や事業名など致命的な項目を変更したい場合、時間も費用もかかってしまいますが、名刺そのものを作り直しましょう。簡易的に修正するとマナーに欠けるとみなされる場合もあるのでおすすめできません。
名刺を住所録で管理するおすすめの方法は?
名刺管理に便利なのが、名刺管理ソフトやアプリです。名刺交換などで溜まった名刺をデジタルで簡単に管理できます。
Wantedly PeopleやEightといった名刺管理アプリは、取り込み用のスキャナがなくても画像から情報を読み取りデジタルデータに変換できるので、スマホさえあればどこでも使用可能です。複数の名刺データを一度に取り込めるため、作業効率化にも役立ちます。
特にメールアドレスやSNSアカウントはデジタルで使うため、あからじめデータに変換しておくとスムーズに連絡できるでしょう。
まとめ:名刺を作る際は住所なしでもOK!対処法を活用しよう
個人事業主やフリーランスが名刺を作る際、必ずしも自宅の住所を載せなければならないという決まりはありません。プライバシーを考慮して住所を載せたくない場合は、住所あり・なしの2種類の名刺を作る、住所の一部までを載せる、契約の段階で住所情報を共有するといった対処法がおすすめです。
住所を名刺に載せたいが自宅の住所を使いたくない場合には、住所貸しサービスを利用しましょう。「Re:Zone」スモールオフィスなら、郵便物の受け取りや登記にも拠点の住所を使用できます。活用シーンに適した名刺を作成して、事業拡大に役立ててください。