起業して業務を行っていると、よく「事業所所在地」を記載したり、届け出したりする機会があります。この事業所所在地、事業所に設定した場所によっては後で面倒ごとになるリスクがあるなど注意点があります。
事業所所在地は自社の信頼性を確保するための情報でもあります。そこで適当に決めず、明確に事業所だと説明できるような場所で届け出を行ってみてください。
今回は事業所所在地の意味や似た言葉との違い、そして注意点などを解説していきます。
事業所所在地とは?事業所と似た言葉の違いも解説
事業所所在地とは、「自社で事業を行っている拠点の場所」を指す言葉です。ただし事業所という言葉はいろいろな意味で取られてしまうので注意が必要です。
事業を行う場所はすべて事業所とみなされ、対象は
- 本店
- 支店
- 営業所
といった拠点も含まれるので、特に複数の拠点で活動を行っている企業では事業所所在地の記載に困ってしまうことがあります。
結論としては、「基本的に事業所所在地を求められた場合は、自分が実際に活動を行っている拠点を記載する」です。たとえば自分が大阪の支店で働いている場合は、大阪の支店名や住所を書類へ記載しておいてください。
区別がつきにくい!ややこしい似た言葉と事業所との違い
事業所と似た言葉としては、次のようなものがあります。事業所は下記で説明する言葉をすべて含めた言葉です。
本店
登記簿謄本へ記載された事業所です。通常は業務の中枢となる拠点、たとえば東京本社があるようであれば東京本社を登録します。
ただし登記をする場所は自分で決められるので、必ずしも「本店登録された拠点=業務中枢となる拠点」ではありません。たとえば自宅を本店登記した上で、別の拠点で中枢業務を行うことも可能です。その場合は中枢業務を行う別拠点は「本社」扱いですが、本社は法律上で取り扱われる言葉ではなく、曖昧なニュアンスを含んでいる点に注意が必要です。
支店
本社とは違う場所であり、登記がされているような事業所を支店と呼びます。本店と違う場所であり、本店以外の事業所となるような場所はすべて支店として登記可能です。
支店として登記していると、法律上では実印の独自登録なども可能となり業務上でできることが広がります。契約等の意思決定も支店独自で行われているケースが多いです。
ちなみに支社という単語もありますが、意味は支店と大差はありません。ただし法律上、登記していないと支社とは名乗れても支店とは記載できないため注意が必要です。
営業所
営業活動をメインに行う拠点はすべて営業所です。登記されていなくても名乗れます。
営業・採用活動等を円滑化するために、わざわざ営業所を設置するケースがあります。経理といった部門を省略して営業部門に特化しているようなケースも多いです。
ただし法律的には実印登録ができなかったりと制限があります。
その他
その他
- 製造工場
- 商品倉庫
- 小売店舗
これらすべてが事業所と扱われます。そのためもし「事業所所在地は?」と聞かれた際は、確認を行い具体的にどの言葉を指しているのかを明確にしておく必要があるでしょう。
バーチャルオフィスとは?メリット・デメリットを徹底解説 | Re:ZONE
Re:ZONE
事業所所在地を届け出る際の注意点!郵便物等の受取にも注意
ここでは事業所所在地に関する注意点を解説していきます。
実際に聞かないと事業所所在地の登録場所が分からない可能性がある
たとえば「表向きには自宅を本社の所在地として届け出を行ったが、実際にはある客先のオフィスを借りて従業員をそこへ配置している」ケースを想定してみます。この場合本社は自宅ですが、実際の本社機能を有しているのは借りたオフィスです。借りたオフィスについて事業所登録はしません。そして「36協定届」で事業所所在地を聞かれた際のことを想像しています。
労働基準法で判断すると、社員と労働契約をしている拠点が事業所となります。よって自宅等を労働契約の場所としているケースでは、自宅等を事業所所在地として記載する必要があるのがポイントです。
ただしことは簡単ではなく、「36協定については実際に作業をしている場所で判断する」、との意見もあります。実際労基署に問い合わせると、社員数や常駐状況などの観点から客先のオフィスを事業として登録する必要性が出てきたケースがあります。
もし事業所登録で気になる場合は、実際に届け出をする機関で詳しい判断をあおぐ必要性も出てくるので注意しましょう。
自宅を事業所所在地にするといろいろ問題が出てくる
法律上では自宅を事業所所在地に設定しても、問題はありません。ただし公開したりする際にいろいろとデメリットが出てきます。
たとえば取引面では、自宅を事業所所在地として登記していると信頼性が欠けると判断されるケースもあります。またプライバシー面では自宅の住所が公開されてしまい、セキュリティ上影響が出るケースもあるでしょう。
さらに事業所所在地として登録する場所に賃貸を選択する場合は、不動産会社等に登録しても大丈夫か問い合わせる必要性も出てきます。デメリットが大きいと感じる場合は、別の場所を安く借りたりして登録したほうが安心です。
法律関連の書類はすべて登記した住所へ届く
納税通知といった法律関連の政府が発行する書類は、当然登記して事業所所在地扱いされている住所へ届きます。届けていない事業所には届きません。
ですから登記している事業所とは別に事業所がある場合は、
- 個人と事業所宛ての郵便物の区別が付かなくなる
- 郵便物を確実に受け取れないリスクがある
といった点に注意する必要があるでしょう。
ちなみに税法上でも登記上の所在地や実際の事業所住所等が違う場合、記載項目が多くなって整理がしにくくなるリスクがあります。
レンタルオフィスを利用してみよう!低コストの事業所所在地にもできる
もし自宅といった場所とは別に事業所をお求めの場合は、「レンタルオフィス」の活用も考えてみましょう。レンタルオフィスは簡単に契約できる作業スペースであり、事業所所在地の登記といった面でも次のようなメリットがあります。
登記して利用できる
大体のレンタルオフィスでは、法律上の登記場所として利用できる許可が下りています。ですからもし自宅等の登記がプライベート面で問題がある場合は、レンタルオフィスを借りると簡単に登記場所が確保可能です。
またレンタルオフィスで郵便物を受け取ると、自宅等に届くものとは明確に区別ができるようになるため整理の面でもおすすめです。さらに小規模にはなりますが通常の事業所と同じようにスペースが用意されているため、信頼性も上げることができます。
商談等のスペースが確保できる
自宅等だと商談ができないといったデメリットもあります。しかしレンタルオフィスだと商談等にも正式に使えるようになっているため、対面での接客が必要な場合でも安心して対応できます。
商談等に活用するレンタルオフィスを確保する場合は、交通手段等が整備されておりすぐに通えるような場所を探して契約ができるとさらに安心です。レンタルオフィスの紹介ページに、アクセス方法や立地場所の特徴などのポイント記載があるはずです。
備品もそろっており格安で借りられる
レンタルオフィスには差があるものの
- 机
- 椅子
- Wi-Fi
- 空調
といった基本的なオフィス備品が備え付けられています。スペース利用料も安いですが、備品の分も必要ないためかなりの節約が可能です。
レンタルオフィスの種類によってはサービス業だけでなく、美容業といった業種にも対応した備品が用意されているケースがあります。業種に合ったレンタルオフィスを借りることで、格安で安全に利用できるオフィスを確保可能です。
まとめ
今回は事業所所在地の意味や似た言葉との違い、そして注意点等を解説してきました。
事業所にはさまざまな意味があり、似た言葉も多いです。ぜひ言葉の違いも理解しながら、適切な場所を事業所所在地として登録してみてください。
「Re:Zone」では、大阪府や奈良県といった地域で複数のレンタルオフィスを提供しています。新レンタルオフィスも準備中であり、公式サイトでご紹介しています。気になる方はぜひご確認ください。