若い起業家の活躍が注目を集めている近年、大学生で起業を目指す人が増えています。在学中に事業や会社を立ち上げることで、早くからビジネス経験を積めますが、一方で学業との両立などの課題もあります。
この記事では、大学生が起業して成功するための秘訣や、大学生ならではの起業アイデアについて解説します。学生が起業するメリットとデメリット、実際に大学生で成功している女性起業家も紹介します。学生起業に興味がある高校生や中学生にも役立つ内容なので、ぜひ参考にしてください。
大学生起業のメリット
大学生起業にはさまざまなメリットがありますが、ここでは3つの項目について解説します。
起業実績が残る
大学生のうちに起業することで、ビジネスの現場を経験したという実績が手に入ります。大学生活だけでは身につかない経営感覚や事業運営に関する知見を習得でき、就職活動でも有利に働きます。
万が一事業が短期で終わったとしても、ゼロからビジネスを立ち上げたというチャレンジ精神が評価されるでしょう。
大学の施設や支援制度を使える
大学の校舎や支援制度を利用できるのは、在学中の生徒だけの特権です。PCルームや会議室などの設備を活用すれば、創業コストを抑えられます。中には、大学生の起業への支援が充実していて、学生にメリットがあると認められれば構内で製品を展開できる学校もあります。
近年は、創業期の起業家を支援するためのインキュベーション施設を開設する大学も増えており、起業に適した環境が整備されてきています。
チャレンジしやすい&リスクが少ない
大学生のうちに起業する大きな魅力は、リスクが少なくチャレンジしやすい点です。学生は社会経験が少ないからこそ、先入観にとらわれない新鮮な思考を持ち合わせています。
若さというリソースを存分に活用し、新しいことに自由に挑戦できる時期に起業することで、斬新なビジネスを世の中に送り出せる可能性があります。また、社会人は自分で生計を立てますが、学生のうちはある程度親元に頼れる可能性も高いでしょう。
大学生起業のデメリット
一方で、大学生の起業にはデメリットも存在します。ここでは2つの点について解説します。
学業との両立
大学生の本業は学校生活であり、学業と起業を両立することが大切です。起業を優先して本業をおろそかにしていると、勉強が追いつかず単位を落とす、あるいは留年するといったリスクが考えられます。
起業ではやることが多く、どうしてもビジネスに費やす時間が増えがちですが、学費を支払ってもらっている以上は学業に支障が出ないようにしましょう。
友達と過ごす時間や経験が減る
大学生で起業すると、ビジネスのために友人やサークルの時間を削って仕事に取り組む必要があります。夏休みや冬休みなど長期休にも、旅行や思い出づくりといったイベントには参加できない可能性があるでしょう。
人生で一度の貴重な学生生活で、何を優先するかは人それぞれですが、起業する場合は周りの学生とは違う時間の使い方をすることは覚えておきましょう。
資金が必要なビジネスはハードルが高い
学生起業でぶつかりやすい壁として、創業時の資金調達が挙げられます。会社やビジネスを立ち上げる際にまとまった資金が必要な場合、学生では自己資金が不足する可能性があります。また、社会人に比べ信用力がて低い学生では、金融機関からの資金調達はハードルが高いでしょう。
ただ、10代・20代の若者や学生の場合は、年長者から支援を受けやすい傾向があるのも事実です。事業計画やビジネスプランを綿密に練り、事業の将来性をアピールできればスムーズな資金調達も目指せるでしょう。
近年は、クラウドファンディングや創業コンテストなどの支援制度も多く登場しています。さまざまな情報にアンテナを張りつつ、準備を進めることが大切です。
学生起業を成功させるポイント
大学生起業を成功させるため2つのポイントを紹介します。起業の大原則として覚えておきましょう。
起業の目的を明確にする
最初に起業する目的を明確にしましょう。目的や動機が薄いとトラブルや困難な状況が発生した際に、行き詰まって挫折してしまう可能性があります。起業する明確な目標があれば、モチベーションを維持して乗り越えられるでしょう。
「起業したい」という思いだけで行動せず、目的達成のためになぜ「起業という手段」を選ぶのか、自分の中で明確な答えを出しておきましょう。
事業計画やビジネスモデルを熟考する
起業には、事業計画やビジネスモデルが必須です。起業する動機に沿った事業アイデアを固めるために、経営やビジネスに関するインプットを行いましょう。
ビジネスは長期的かつ現実的な計画の元で進める必要があります。勢いで事業を立ち上げられたとしても、利益を生み出しビジネスを成長させることは難しいでしょう。ビジョンやアイデアに合う製品サービスと、ニーズや収益性についてよく検討し、計画を練ることが大切です。
チームワークを意識して内部分裂を避ける
学生起業によらず、スタートアップの失敗談として多いのがチームの内部分裂です。複数人のグループで創業したものの、途中で意見の食い違いや方向性の相違が生まれ、事業を継続できなくなってしまうパターンがあります。
チームがバラバラになる原因として、トップのワンマン経営や仲間への過度な依存といった力の偏りが挙げられます。代表者1人が強すぎるワンマン組織では、メンバー間に隔たりが生まれやすいでしょう。逆に、トップの人に代表者としての自覚がないと、仲間に頼ってばかりで頼りにならない、とチームメンバーが離れていってしまいます。
スタートアップや起業を成功させるためには、事業計画やビジネスモデルだけでなく、組織のマネジメントが重要です。特に全体をまとめる代表者には、チーム全体を統率するマネジメントスキルが求められます。学校の部活やサークルのリーダー経験がある人はスムーズにマネジメントを進めやすいでしょう。
起業で失敗する要因とは?成功させるための4つのポイント! | Re:ZONE
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大学生起業家として活躍する女性3人
ここで、大学生起業家として成功し、現在も活躍されている3人の女性起業家を紹介します。
朝比奈ひかりさん|株式会社ネオレア
朝比奈ひかりさんは「若者コンサル」をテーマにSNS運用やイベント企画などを手掛ける「株式会社ネオレア」を2019年に設立。「好きなことだけで生きていこう」という思いから、大学入学直後の4月にはインフルエンサーとファンが交流できるイベントを立ち上げ、9ヵ月で約2,500万円の売上を達成しました。
学業を優先するスタンスを貫き、理解のある企業とのみ取引することでバランスを維持していると言います。
平井幸奈さん|フォルスタイル株式会社
平井幸奈さんは、複数の飲食事業を展開する「フォルスタイル株式会社」の代表です。大学3年生で日本発ブリュレフレンチトースト専門店をオープンさせ、その後もグラノーラやドラフトコーヒービジネスを手掛けています。
山田果凜さん|株式会社Familic
山田果凜さんは小学生からの海外体験を通して、日本と世界の社会問題解決を目的として大学在学中に「株式会社Familic」を設立。運営するTobira Cafeでは売上の5%をコーヒーの仕入れ先であるアフリカ現地での支援に活用しています。
大学生ならではの起業アイデア
ここからは、大学生ならではの起業アイデアを紹介します。学生という立場をうまく利用することで、スモールスタートから安定的な事業運営につなげることが可能です。
大学生向けサービス:論文作成支援・家庭教師のマッチング派遣
大学生など同世代のユーザー向けのサービスは、ニーズを理解しやすいビジネスです。課題や論文のサポートや、家庭教師のマッチング・派遣、イベントやセミナー主催など、学生生活と密着したものなら始めやすいでしょう。
ただ、宿題代行サービスは本人のためにならない場合もあるので、あくまでも支援するというスタンスを貫くのが望ましいでしょう。学生向けシェアハウスの運営管理は、オーナーからの委託だと始めやすく、物件を探す手間もかかりません。
時間を有効活用する:せどり(転売)
学生は社会人に比べて自由に使える時間が多いので、時間を要する仕事で起業することもおすすめです。資格や大きな元手なしで始められるせどりや転売で利益を出すためには、商品の仕入れや売れ行きのリサーチに時間をかける必要があります。
せどりや転売は商売の基本が身につく上、市場の傾向や価格動向などについても知見が深まります。ただし、ブランド品の販売や大量販売など、古物商許可の申請が必要となる場合があります。長期的に事業として取り組む場合は、古物商許可取得も視野に入れておきましょう。
個人で稼げる技術の習得:アプリ開発・Web制作・動画編集
時間を有効活用して、個人で稼げるスキルや技術を習得することもできます。起業するプロセスとしても、個人事業主やフリーランスとして独立して稼ぐ方法は有用です。近年需要のあるIT系のシステム開発やアプリ開発、Web制作、動画編集などは、手に職系の代表例であり、安定した仕事が見込めます。
学生向けのサービスの開発や提供をはじめ、同じ志を持つ人と協力してチームで起業することも可能です。どのような製品やサービスを提供するビジネスにするか、アイデア次第ではさまざまな起業が考えられるでしょう。
学生起業向けビジネスコンテスト5選
ここからは、学生起業向けのビジネスコンテストを紹介します。ビジネスコンテストでは、ビジネスプランや事業計画をプレゼンし、審査上位に入賞すると創業資金としての賞金や助成金が受け取れるコンペです。
自治体や企業など、さまざまな主催者が開催しており、中には世界大会へと進出できるものもあります。ほとんどのコンテストは無料で参加できるため、起業家を目指して活動する学生にとっては大きなビジネスチャンスです。ぜひチェックしてください。
学生ビジネスプランコンテスト|一般財団法人学生サポートセンター
「学生ビジネスプランコンテスト」は、一般財団法人学生サポートセンターが主催するビジネスコンテストです。日本国内の大学や大学院、専門学校などに在籍する学生であれば誰でも応募できます。毎年開催されており、例年9〜10月ごろに募集期間を設けています。
社会的な課題解決に関するテーマが望ましいとされていますが、事業ジャンルや業界に指定はありません。最優秀賞には30万円の助成金が支給される上、入賞者には副賞としてインキュベーション施設の無償利用特典も付与されます。学生らしい自由で柔軟なアイデアや創造性のあるビジネスモデルをアピールできる機会です。
O-BUCs(オブックス)|大阪信用金庫 だいしん総合研究所
「O-BUCs(オブックス)」は、大阪信用金庫が主催する学生起業家支援を目的としたコンテストです。地域経済や社会の活性化につながる事業の拡大を目的としています。大阪府内に在住の大学生や短大生、専門学校生で、斬新さとクリエイティビティに富んだビジネスプランを提示できることが参加条件です。
最上位の理事長賞には50万円の賞金が提供されます。また、特別賞でもビジネスに関する個別フォローアップがある他、大阪信用金庫が運営するシェアオフィスの1年利用権が進呈されるなど、特典も豪華です。
一次選考に通過した参加者は、最終選考に向けたブラッシュアップ・プレゼンテーション講座を通して、より魅力的なビジネスプランを練り上げる機会を得られます。
学生のための国際ビジネスコンテストOIBC|OVAL Japan
「学生のための国際ビジネスコンテストOIBC」は、日本を含むアジア圏内の学生ビジネスを支援するOVAL(Our Vision for Asian Leadership)の日本支部「OVAL Japan」が主催しています。東アジアの発展に向けたビジネスプランを競うコンペで、20年以上の開催実績があります。
OIBCでは、5泊6日の勉強会やビジネスモデルの創出といった活動があり、最終段階でコンテストを用意しています。宿泊費と期間中の一部の食事費用、勉強会費用などを含め9,000円(税込)と破格で参加可能です。優勝賞金は10万円と、他のビジネスコンテストに比べると低めですが格安で参加できる上、PwCコンサルティング合同会社など世界的企業の指導を受けられるなどメリットは大きいでしょう。
海外からの参加者を含むチームメンバーで、ゼロからビジネスプランを組み立てる活動は、日本の学校生活では味わえない貴重な体験です。
データビジネス創造コンテスト(GSEA)|世界起業家機構(EO)
「データビジネス創造コンテスト(GSEA)」は、世界起業家機構(EO)が主催する国際ビジネスコンペです。東京と大阪で開かれる国内予選を勝ち抜き、決勝でトップに輝いた1名は、世界大会へと進出するチャンスを獲得できます。
世界大会への参加費用は、移動費や宿泊費を含め個人負担はなし。海外で活躍する学生企業家と交流ができ、先輩起業家のバックアップも受けられるなど、出会いと刺激が得られるでしょう。
参加対象者は、日本国内の大学または大学院に在学中の30歳以下の学生のうち、半年以上の起業歴がある人です。利益創出を目的とした起業である証明として、応募時に規定額以上の売上や支援、投資などを示す収益証明書を提出する必要があります。世界大会で優勝するまでは、参加資格を満たしていれば何度でも応募できるので、ぜひチャレンジしてみましょう。
女性起業チャレンジ制度|日本起業アイディア実現プロジェクト
「女性起業チャレンジ制度」は、一般社団法人日本起業アイディア実現プロジェクトによる女性向けのビジネスコンテストです。18歳以上で起業を目指している女性であれば誰でも参加できます。これから起業する人はもちろん、すでに法人を経営している人が新しいアイデアによる事業拡大を目的して参加することも可能です。
選考の結果、グランプリを受賞した5名には支援金200万円が支給される他、特別優秀賞として50万円が若干名に対して支給されます。支援金は無償ですが、グランプリの場合は選考後半年以内に日本で株式会社を設立することが条件です。
まとめ:起業したい大学生はリソースを有効活用してチャレンジしよう!
自由に使える時間は多い一方で、資金調達が難しい学生は、手元のリソースをどう有効活用するかが重要です。クラウドソーシングやビジネスコンテストなど、学生でも創業用に資金調達できる機会は増えているので、チャンスを利用するために行動することも大切です。また、多くの大学では、構内を起業拠点として活用できますが、利用条件が厳しい場合は外部リソースも検討しましょう。
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