個人や法人が資金調達を考える際に、候補に挙がるのが「公的融資」です。
公的融資は、国や地方自治体などが提供する融資制度で、創業したばかりの起業家から個人まで、さまざまな種類が用意されています。
本記事では、公的融資の概要から民間融資との違い、メリット・デメリット、個人と法人それぞれにおすすめの制度や申請の流れまで詳しく解説します。
公的融資の審査に通るためのポイントも紹介しますので、公的融資による資金調達を検討する際にお役立てください。
公的融資とは?公的機関が提供する低金利融資
公的融資とは、国や地方自治体などの公的機関が提供する融資制度です。
個人向けの生活支援や教育融資、事業者向けの創業資金や事業拡大に向けた融資などさまざまな制度があります。
低金利や無担保で利用できるものや、返済期間の柔軟性が高いものが多い点が特徴です。
公的融資と民間融資との違い
公的融資と民間融資には、主に以下のような違いがあります。
項目 | 公的融資 | 民間融資 |
---|---|---|
金利 | 低金利 | 比較的高め |
担保・保証 | 無担保・無保証の制度あり | 基本的に担保・保証が必要 |
審査基準 | 厳しめ | 融資元や種類による |
融資元 | 公的機関 | 民間の金融機関 |
融資までの期間 | 数週間〜1ヶ月以上 | 数日〜数週間 |
公的融資と民間融資の最大の違いは金利です。公的融資は低金利で利用できる制度が多いのに対し、民間融資は金利が高めに設定されています。また、公的融資は無担保や保証人なしで融資を受けられるケースも少なくありません。
公的融資は好条件で利用できる反面、審査が厳しく、審査期間も民間融資と比べて長い傾向があります。
事業資金を調達する方法については、下記記事で詳しく解説していますのであわせてご覧ください。
関連記事:起業資金の調達方法は?コストを抑えるためのポイントも解説
公的融資の主な種類と特徴【個人・事業者】
個人と事業者それぞれに向けて、さまざまな公的融資が用意されています。
ここでは、代表的な公的融資制度を紹介します。
個人向け公的融資
個人向けの公的融資として、350万円以内の教育ローンや、各自治体が提供する生活福祉資金貸付制度などがあります。
公的融資の名称 | 融資機関 | 内容・特徴 |
---|---|---|
教育一般貸付 | 日本政策金融公庫 | 中学校卒業以上が対象の教育施設における費用の融資、上限350万円 |
生活福祉資金貸付制度 | 都道府県の社会福祉協議会 | 一時的な生活費の貸付が受けられる、連帯保証人を立てると金利なし |
事業者向け公的融資
事業者向けの公的融資としては、創業期に利用できる新創業融資制度や、商工会議所の利用者が申請できるマル経融資などがあります。
公的融資の名称 | 融資機関 | 内容・特徴 |
---|---|---|
新創業融資制度 | 日本政策金融公庫 | 上限7,200万円、無担保・無保証人でも利用可 |
小規模事業者経営改善資金(マル経融資) | 商工会議所 | 商工会議所で経営指導を受けている小規模事業者向けの融資、無担保・無保証人で上限2,000万円 |
公的融資のメリット・デメリット
公的融資にはメリットが多いですが、デメリットも存在するため、両面を理解した上で検討することが重要です。
ここでは、公的融資のメリットとデメリットを詳しく解説します。
公的融資のメリット3つ
公的融資の主なメリットは、以下の3点です。
- 低金利で借り入れできる
- 無担保・無保証人でも利用可
- 創業時でも融資を受けやすい
民間の金融機関と比べて低金利のため、返済の負担が軽減されており、返済条件も柔軟に調整しやすい傾向があります。
また、多くの公的融資制度では無担保・無保証人での借入が可能です。
さらに、スタートアップ融資のように、創業間もない事業者が利用しやすい制度も用意されています。
資産が少ない個人事業主や小規模事業者など、実績によらず資金調達できる可能性が高い点は魅力的です。
公的融資のデメリット3つ
一方で、公的融資には以下のようなデメリットも存在します。
- 審査に時間がかかる
- 必要書類や面談などのプロセスが多い
- 限度額が低い傾向がある
公的融資は、融資までの時間が長めで、申請から1ヶ月以上かかる場合もあります。
また、民間融資よりも審査が厳しいと言われており、提出する書類も多いため、計画的に申請の準備を行うことが重要です。
さらに、制度によっては融資額に制限があり、希望額を調達できるとは限らないため注意が必要です。
公的融資の申請方法と審査の流れ
ここからは、公的融資の申請について具体的に紹介します。
準備を始める前に、必要な書類や審査の流れを把握しておきましょう。
申請に必要な書類
公的融資では、主に以下の書類を用意する必要があります。
- 事業計画書
- 財務諸表(損益計算書、貸借対照表など)
- 納税証明書
- 本人確認書類(個人の場合)
- 商業登記簿謄本(法人の場合)など
提出する書類は制度ごとに異なるため、事前に確認しましょう。
また、事業計画書の作成が初めての場合など、準備に時間を要することを考慮して、余裕を持って取り組むことが重要です。
申請の流れ
公的融資の申請の流れは、以下の通りです。
- 必要書類を準備する
- オンラインまたは窓口で融資の申請を行う
- 面談の日程を調整する
- 融資担当者と面談を行い、事業計画や資金の使い道について説明する
- 審査に通過すると融資が実行される
公的融資の審査に通過するためのコツ
公的融資は、民間融資に比べて審査が厳しい傾向がありますが、対策を講じることで審査をスムーズに通過できる可能性が高まります。ここでは、公的融資の審査に通過するためのポイントを紹介します。
公的融資審査のポイント
公的融資の審査では、事業の収益性や返済能力を厳しくチェックされます。
提出書類の中でも、特に事業計画の内容は重要です。事業の目的や成長性が十分に検討されていて明確になっているか、返済計画に無理がないか、といった点を数値を交えて説明できるよう準備しましょう。
また、代表である個人の信用情報も融資の合否に影響します。
過去の借入やクレジット履歴をクリーンにし、信用を維持することで審査に通過できる可能性がアップします。
なお、一定以上の自己資金があると、金融機関からの信頼を得やすくなる場合があります。
事業計画書の書き方について、詳しくは下記記事もご参照ください。
関連記事:事業計画書とは? メリットや記入項目、効率的に作る方法を解説!
よくある審査落ちの理由と対策
公的融資の審査に落ちてしまった場合によくある理由としては、以下が挙げられます。
- 事業計画に不備があった
- 信用情報に傷が付いていた
- 自己資金が不足していた
上記の対策を講じることで、融資を受けられる確率がアップします。
以下のような対策を念頭に置き、公的融資の申請準備を行うと良いでしょう。
- 自己資金を確保する
- 事業計画を入念に作り直し、売上予測や事業の成長戦略を具体的にまとめる
- 個人の信用情報をクリーンにする
- 面談対策を徹底する
まとめ:公的融資は早めの準備が成功のカギ
公的融資は、民間融資よりも金利が低く、返済の負担が少ない点が魅力です。
創業したてのスタートアップ企業や小規模事業者が利用しやすい資金調達手段であり、民間の金融機関からの融資が難しい場合や、安定した資金計画を立てたい場合にも適しています。
申請には多くの書類が必要であり、事業計画を入念に作成することが重要です。
公的融資をうまく活用して、事業の成長や生活の安定につなげていきましょう。
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