個人事業主は売上から税金を自分で支払うこともあり、最終的に手元にいくら残るのか不安に感じる人も多いのではないでしょうか。年間の売上から税金額をシミュレーションしておけば、納税をスムーズに進められます。
本記事では、個人事業主の税金シミュレーションを年収額別に提示するとともに、個人事業主におすすめの節税対策について解説します。所得税や住民税の目安を把握し、負担を軽減するためにやるべき対策方法を取り入れるためにぜひ参考にしてください。
※実際の税率や計算方法は、法改正などにより変わる場合もあるため、国税庁のホームページなどで最新情報を確認してください。
【年収別】個人事業主の税金シミュレーション
個人事業主の税金シミュレーションを年収別に見ていきましょう。ここではおおよその税額の目安だけを提示します。
年収額 | 青色申告(65万円控除) | 白色申告 | ||
所得税 | 住民税 | 所得税 | 住民税 | |
300万円 | 71,700円 | 153,400円 | 104,800円 | 212,300円 |
400万円 | 136,500円 | 244,000円 | 195,300円 | 302,800円 |
500万円 | 227,000円 | 334,500円 | 339,300円 | 393,400円 |
600万円 | 402,700円 | 425,100円 | 520,300円 | 483,900円 |
700万円 | 583,700円 | 515,600円 | 701,500円 | 574,500円 |
800万円 | 764,900円 | 882,700円 | 606,200円 | 665,100円 |
900万円 | 946,100円 | 1,082,100円 | 696,800円 | 757,000円 |
1,000万円 | 1,162,600円 | 1,312,100円 | 792,000円 | 857,000円 |
※実際の税額は、経費や控除の種類、住民税を納める市区町村などによって異なる場合があります
個人事業主の税金の計算方法
個人事業主がいくら税金を支払うことになるか、おおよその目安を計算するために、個人事業主の所得税と住民税の計算方法を見てみましょう。
所得税の計算方法
所得税は、前年の1月1日から12月31日までの所得額から経費や控除額を差し引いた課税所得額に対し、一定の税率をかけて算出します。所得税は累進課税のため、基本的に所得額が多いほど税率は高くなります。
ただ、経費や控除額によって異なるため、具体的な金額でシミュレーションしておくと良いでしょう。所得税の計算方法は以下の通りです。
- 1月~12月の年間所得額を計算する
- 経費と所得控除を差し引いて課税所得額を出す
- 所得税額を計算する
- 税額控除の額を差し引く
- 所得税を納付する
年間の所得額を計算した後、年間の収入額から経費や所得控除を差し引いて、年間の課税所得額を算出します。課税所得額の区分による税率は、国税庁のホームページで公開されている速算表で確認できます。
住民税の計算方法
個人事業主の住民税は、対象となる1月1日の時点で住所がある市町村に納める必要があります。住民税額は、所得に関係ない「均等割」と、所得によって負担を決める「所得割」の2つで構成されます。
均等割、所得割は標準税額(標準税率)であり、各自治体の裁量などで数値が異なる場合もあるため、納税する市区町村にて確認する必要があります。
なお、均等割の目安として、都道府県民税が1,500円、市区町村税が3,500円です。また所得割かかる税率は標準税率で10%(都道府県民税が4%、市区町村税が6%)と決まっており、課税所得額が多いほど納税額も増えます。
ただ、住民税にも青色申告による控除が適用されるため、節税効果により税額が抑えられる場合があります。
個人事業主向けの節税対策おすすめ
個人事業主が支払う税金は年収と比例するため、高額になるケースもあります。貯蓄や投資などに向けて手取りを増やすためにも、節税や売上アップなどの対策が必要です。
ここでは、個人事業主が取り組むべきおすすめの節税対策を紹介します。大幅な控除が受けられる場合もあるので、ぜひ確認してみましょう。
確定申告で青色申告を選ぶ
個人事業主の確定申告は、基本的に「白色申告」「青色申告」の2種類があり、青色申告では最大65万円の控除が受けられます。複式簿記による記帳と貸借対照表・損益計算書の添付によって、最大65万円の青色申告特別控除が認められ、節税効果が期待できます。
2014年分から白色申告でも簡易帳簿の保存が義務付けられており、少しの手間で控除が受けられる青色申告を選ぶメリットは大きいでしょう。
家事按分などによる必要経費の活用
個人事業主では、経費により課税所得を減らすことで手取り額を増やせる場合があります。経費とは、一般的に事業に関連する設備費や消耗品費、飲食代などが含まれます。細かく計上することで課税所得を減らし、節税効果を得られるでしょう。
当然ながら、節税だけのために事業に関係のない出費を経費として計上することは厳禁です。そこで、家事按分を利用して、通信費や駐車場代などのうち事業のために使った割合分を経費として申告する方法もあります。
NISAやiDeCoの活用
政府が推奨しているNISAやiDeCoを活用して資産形成を行う方法も、税金対策として有用です。NISAは、投資信託や株式による利益が非課税になる制度で、通常20%の税金が免除されます。最近は新NISAと呼ばれる制度がスタートし、従来までは積み立て上限が年間40万円だったところ、年間360万円まで引き上げられたこともあり、注目度が高まっています。
また、iDeCoは投資信託や株式による私的年金制度です。掛け金全額が控除となるため大きな節税効果が期待できます。個人事業主にとっての老後の支えとして活用する意義がありますが、原則60歳まで引き出せない点には注意が必要です。
医療費控除、セルフメディケーション税制の活用
医療費を支払った場合は、医療費控除・セルフメディケーション税制を使うことで所得控除が受けられます。医療費控除は、その年に支払った医療費のうち、保険金を除く10万円以上の部分が対象です。
また、セルフメディケーション税制は、12,000円以上で対象の医薬品を購入した場合などに、費用が所得から控除されます。購入時のレシートが必要なため、確定申告用に保管しておきましょう。なお、医療費控除との併用ができないため注意が必要です。
一定年収以上で法人化を検討する
年収が一定額を超えてきたら、法人化することで所得税額を抑えられる可能性が出てきます。1つの目安として年収800万以上という基準があり、継続的に年収800万円を超えるような場合には法人化により節税効果が期待できます。
ただ、法人になると赤字でも法人住民税が課税され、個人事業主よりも税負担が多くなる可能性があります。法人化のタイミングや税金対策については、税理士など専門家に相談することをおすすめします。
所得税・住民税のシュミレーションについて
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利用対象が「サラリーマンの方が副業で個人事業主」を行っている場合のみになってしまいますが、
どれぐらいの金額感になるのか予測ができるためぜひチェックしてみてくださいね。
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個人事業主の税金を節約するために制度を有効活用しよう
個人事業主は、経費計上や控除の活用により、節税効果を得られる制度が多数用意されています。青色申告により最大65万円の控除を受けるためには、事前に承認申告書を提出しておく必要があります。今回紹介した税金シミュレーションを参考に、節税対策を取り入れつつ長期的な事業運営を目指しましょう。
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