組織全体の方針や成長を決めていくためには、経営戦略の策定が欠かせません。経営戦略の立て方には順序があり、またスムーズに分析・策定を行っていくにはポイントがあります。
経営戦略によって企業の在り方が大きく変わっていくので、ぜひ仕組みを理解して計画立てて戦略を策定・実行できるようにしておきましょう。今回は経営戦略の概要や必要性、立てる際にどんなポイントがあるのかなどをご紹介していきます。
経営戦略とは?
経営戦略とは「企業や組織が目標を達成し、競争面での優位性を築くために採用する計画やアプローチ」のことです。
企業における経営に使える資源は常に有限です。企業が何を目指して成長しているのか、また成長したいのかによって資源をどの分野に集中的に分配するかは変わってきます。こういった分配の割合や注力すべき業務などを判断するために、経営戦略は必要です。
また企業の成長度合いに応じて資源の量というのは変化します。たとえば成長度合いが大きいところでは、今まで手を付けていなかった分野へ参入する可能性もあるでしょう。こういった変化に応じて適切な分配量、割合等を決める際にも経営戦略が必要です。
今経営戦略が必要な理由
経営戦略の必要性は以前より大きいです。というのはITの進化やデジタル化の必要性などに伴い、市場の変化度合いが激しくなっているからです。
以前は大きなシェアを誇っていた事業が撤退に追い込まれたり、ベンチャーだったのにもかかわらず数年で上場できるほど大きく成長するといった事例も珍しくありません。こういった激しい変化へ対応するためにも、定期的に事業見直しを行い経営戦略を再設定する作業が必要不可欠です。
特に近年ではAIの発達が急速に進んでいます。たとえば検索の際にAIを活用して、チャット形式で高度な質問を受けてくれるサービスが続々登場してビジネスでも活用されています。こういったトレンドに関しても情報収集を行い自社にどのような影響があるのか、そしてどのように活用して業務を発展させていくのかなどを検討するのも経営戦略において重要です。
経営戦略における3つの段階とは?順番に解説
経営戦略の策定においては順番があり、大きい範囲から段々と細かい範囲へ戦略を適用させていく必要があります。ここからはその具体的な説明を行っていきます。
企業戦略
企業組織全体の在り方や事業方向性などを決めるための戦略です。
・注力すべき事業
・成長をどのように達成していくのか
といった全体の方向性がここで決まります。
この段階でどの分野に多く資源を投入するか、どの事業からは撤退すべきかなどの分配割合も決まるので重要です。企業戦略が明確になっていないと次の事業戦略や機能戦略にも悪い影響が出ます。適切なリソース配分や事業方向性を決定して、後で影響が出ないように調整してみてください。
事業戦略
企業戦略を基に事業をどのように進めていくべきか、あるいは調整していくかを具体的に決めるための戦略です。経営層が考えた企業戦略をベースとして、事業部の担当者を中心にした戦略策定を行う必要性が出てきます。
・市場・顧客に自社が提供できる価値
・競合他社とどうやって差別化できるか
・どのような業務工程で利益を発生させていくのか
といった項目を明確にして共有していくのがポイントです。
現在の企業組織においては事業の多角化等が行われた結果、事業部門ごとに事業戦略を策定して利益を安定的に獲得する必要性が高まっています。利益成長を成功させるには経営層が各部門へ適切な方法で企業戦略を可視化して共有するだけでなく、連携が必要な場合は部門間で情報を共有しながら戦略を策定する必要もあるでしょう。
機能戦略
事業戦略で事業部門ごとの戦略策定ができたら、次はその事業を実行するのに必要な機能に関しても戦略を策定していく必要があります。
たとえば製造業の場合は
・研究開発
・仕入れ
・生産
・営業
などに関して戦略を適用させていく必要があります。
また販売業の場合は
・マーケティング
・販売
・営業
などに関して戦略を策定していく必要性があるのがポイントです。
このように事業ごとにどんな業務工程が発生し、どんな戦略を設定していくべきなのかは変わってきます。事業によっては工程が少なく機能戦略の数が少なかったり、またある事業では工程が多く機能戦略策定に時間が掛かったりする事例もあるでしょう。いずれにせよ余裕を持った戦略策定が重要です。
起業で失敗する要因とは?成功させるための4つのポイント! | Re:ZONE
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経営戦略を成功させるには?経営戦略の手法を知っておこう
経営戦略の手法にいくつか種類があることを知り、自社がどの手法を今用いるべきなのかを知っておきましょう。
多角化戦略
売上のさらなる成長やリスク軽減などのために、新規に事業を興して参入するような戦略を指します。企業成長に成功している大企業などではよく多角化戦略が行われます。増加した経営資源を新規事業に割り当てることでさらなる成長が見込めるでしょう。
その代わり経営を拡大し過ぎると事業全体の進捗性が不透明になったり、管理しきれないと返ってリスクが増える要因にもなります。経営資源や時間に余裕があるうちに多角化戦略を実行するのがポイントです。
差別化
競合他社に対して自社が強みとしている点を差別化ポイントとして押し出し、新規に商品・サービスを提供して市場へ参入するような戦略です。競合がいても差別化ポイントが強ければ、顧客を大量に獲得してシェアでトップに躍り出ることもあります。新規ブランドにもかかわらず競合ブランドと同じくらい、あるいはそれよりも認知度を獲得しているような企業は、差別化戦略に成功していると言ってよいでしょう。
その代わり差別化のポイントが弱く競合商品・サービスとの差異が感じられない場合、シェアを獲得することができず資源が無駄になってしまうリスクもあります。差別化ポイントが競合に取って代わられるものではないか、また簡単に真似できるような性質がないかなどをチェックして戦略を策定する必要があるでしょう。
グローバル
日本市場外へ出て、グローバルに事業を提供していくような戦略です。日本国内の市場に成長限界が来ている今、急激に成長しているような国外の市場で利益を獲得しようという企業が増えています。そういった企業ではグローバル戦略に成功した場合、海外拠点からの原料調達によりコストを削減する、海外の人材からスキルやノウハウを獲得してさらに成長を実現するといった成果を得られています。
その代わり海外に進出する際は言語面や文化面、あるいは法律面での違いを理解して適切に振る舞い、成長を成功させないといけません。戦略に失敗すると多額の損失が発生するリスクもあるので、海外への進出に必要な人材やお金が集まっているかきちんと確認しておきましょう。
コストリーダーシップ
コストリーダーシップ戦略では、主に製品の製造関連コストに注目します。そしてなるべく無駄な工程をなくしたり品質管理を徹底したりすることで、品質を落とさずに競合より価格面で優位に立ち商品を販売していくのがポイントです。
この戦略では競合より安く品質も高い商品・サービスを提供することで、シェアを獲得して成長していけるかがポイントになっています。いくら商品やサービスが安くなっても品質が落ちれば戦略優位性がなくなるので注意しましょう。
また薄利多売になりがちであり、原材料の高騰などから限界が来つつある側面を考えると無理に戦略を実行する必要性が減っているのも課題です。ブランド戦略等に力を入れて付加価値を付けられるようにしておいてください。
まとめ
今回は経営戦略の概要や成功のポイントなどを解説してきました。
経営戦略によって企業の事業へのリソース分配や事業方向性などが決まります。また段階ごとに組織→事業部門→機能といったように戦略を少しずつ適用させていくのもポイントです。
ぜひ経営戦略について詳しくなり、成長をスムーズに行えるようにしてみてください。