業務を実行するための作業スペース(ワークスペース)にはいろいろな種類があります。企業に勤めていても社外の作業スペースを利用する頻度は増加しており、今後需要がなくなることはありません。
作業スペースの種類や選び方などを確認しておくことで、適切な作業スペースを確保する判断材料として利用できるでしょう。今回は作業スペースの重要性をデータで確認しながら、その種類やメリット・デメリット、選び方などをご紹介していきます。
データから見える作業スペースの重要性
ここでは各企業・団体が出しているデータを基に、作業スペースの重要性を解説していきます。
大手企業も参入!作業スペース市場は成長中
働き方改革が推進されるようになり、コワーキングスペースやレンタルオフィスなどの「サードプレイスオフィス」と呼ばれるスペースが増加しました。サードプレイスオフィスは多様性のある働き方を推進するための拠点となるからです。
サードプレイスオフィスには
- 通勤時間を削減できる
- 自宅でテレワークできない場合も安心
といったメリットがあり、利用する企業が増えました。
そしてサードプレイスオフィスとして作業スペースを提供する企業自体も増えています。「ニッセイ基礎研究所」の調査結果によると
- 2019年:東京電力、キンコーズ
- 2020年:青山商事、パルコ
- 2021年:サイバーエージェント、日本駐車場開発
といったように、続々と大手企業を中心として各企業がサードプレイスオフィス市場へ参入しているのが分かりました。
コロナ禍で作業スペースの重要性はさらに上がり、首都圏だけでなく郊外でも続々と提供されるようになっています。地方にまで広がる作業スペースは、今後も企業運営の上でコスト削減や働き方の多様性確保などのために使われていくでしょう。
ハイブリッドワークが今後は主流に?社外勤務のニーズが増加
テレワークの必要性やメリットは、企業だけでなく従業員も感じています。
さまざまなオフィスを提供している「WeWork Japan」では、従業員20人以上の企業に属している従業員へコロナ禍に関する働き方をヒアリングしています。それによると
- 2人に1人はテレワークを組み合わせたハイブリッドワークをしたいと考えている
- 仕事とプライベートのバランスを自分で選択したい人が多い
- テレワークが不許可の企業でも許可が欲しいと思っている従業員は多い
といった結果が出ました。
オフィスワークと外部環境を組み合わせたハイブリッドワークのメリットは、従業員の中でも広まっています。仕事とプライベートのバランスを考える「ワークライフバランス」においても、ハイブリッドワークが重要だと考えている方は多いようです。さらに現在テレワークが原則不可になっている企業でも将来的にテレワークを解禁してほしいと考えている従業員が多く、テレワークへの対応が遅れている場合従業員からの不満も溜まりやすそうなのもうかがえます。
今後は企業が従業員満足度向上なども考えて、作業スペースを確保するケースがさらに増えそうです。
無料で利用できる作業スペースは? 集中できないときにおすすめのレンタルオフィスも紹介! | Re:ZONE
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作業スペースの種類とは?それぞれのメリット・デメリットもご紹介
作業スペースとして使える社外の場所には、次のような種類があります。
自宅
コロナ禍で自宅勤務の必要に迫られた方は多いです。普段生活スペースとしても利用している自宅で作業を行うと、設備や環境のカスタマイズが容易ですしスケジュールも自分の裁量で決めることができます。また外部のスペースを借りる際に必要なコストも発生しません。
ただし環境によっては集中できるとは限らず作業スペースとして使いにくいケースもありますし、生活と仕事のスペースが共用になる分メリハリが付きにくくなるのがデメリットです。また法人登記時に自宅を選択できないケースもあるため、将来的に独立して働く場合などは注意する必要があります。
コワーキングスペース
コワーキングには「共同で働く」という意味があります。そしてコワーキングスペースでは企業をまたいで、複数の方がスペースを共有するのがポイントです。
アイデアを共有したい、他企業ともコミュニケーションしてみたいという方にはおすすめの作業スペースです。コワーキングスペースには特別な区切りがなく、気軽にコミュニケーションを取れるようになっています。さらにコスト的にも共用スペースなので、安く済むのも特徴です。
その代わり単独で集中できる環境が欲しい方にとっては、邪魔になる可能性があります。またプライバシーの面で他の人の目が気になる方は利用しにくいです。ソーシャルエンジニアリングで情報を盗み取られるリスクを知っている方は選びにくいでしょう。
レンタルオフィス
レンタルオフィスはコワーキングスペースと違い、区切りが設けられている場所が多いです。完全個室型で他の人の目を気にせずに集中できる環境が用意されているところもあります。
集中しやすいのは、コワーキングスペースと比較するとメリットです。1人からも利用できますし、完全個室型だと雑音もほとんど気になりません。設備もWi-Fiや椅子、机など一通りそろっています。また登記する場所としても使えるケースが多いので、起業する際にピッタリなのもメリットです。プライバシー面でも情報漏洩のリスクが少ないので安心できます。
ただしコストはコワーキングスペースと比較すると高くなってしまいます。またサービス内容もレンタルオフィスによって違うので、よく確認しないと失敗する可能性があるでしょう。
サテライトオフィス
自分が勤めている企業が用意しているオフィスです。実際のオフィスから距離がある場合は従業員が集中している居住区域付近にサテライトオフィスを設けて仕事ができるようにしているケースがあります。
従業員であれば誰でも利用できますし、プライバシー面でも企業外の人間が使うことは基本ないので安心です。本拠地となっているオフィスと同じように業務へ集中しやすいのもポイントになっています。本拠地のオフィスが遠い方は、サテライトオフィスを利用することで通勤負担などが削減されるので便利です。
その代わり企業がサテライトオフィスを設けている事例は多くありません。特に中小企業ではコスト面でサテライトオフィスをそもそも用意していないケースが多く、使える方は限られています。
バーチャルオフィス
仮想のオフィスという意味です。その名の通り業務を行う場所として利用されることを想定しておらず、郵便物の受取や法人登記の場所として利用するために提供されています。
たとえば「賃貸なので法人登記ができない」という場合はバーチャルオフィスと契約することで、バーチャルオフィス側を法人の本拠地として登録して起業が可能です。自宅で受け取れない郵便物が多い場合も役立つでしょう。会議室といった設備がそろっていることもあり、現状の作業スペースの補完役になってくれます。
ただし作業できる場所としては基本使えないので、業務できる場所は別に確保しておく必要があります。そういった点ではワークスペースの範疇に入るものの、特殊なスペースと言えるかもしれません。
適切な作業スペースの選び方とは?目的や料金などで比較しよう
適切な作業スペースを選ぶ際は、次のポイントを確認してみてください。
- 作業スペースの種類が目的に合っているか
- 利用料金やプランは適切か
- 交通の便はよいか
- 設備は整っているか
まずは作業スペースの種類が、自分の目的と合致しているか確認する必要があります。たとえば集中したい環境を重視する際は、他の人と区切りのない状態で作業を行うコワーキングスペースは使いにくいかもしれません。またなるべくコストを抑えることを重視する場合は、自宅で作業スペースを確保したほうが有利です。
利用料金も重要になってきます。基本は「初期費用+月額費用」で算出しますが、これに加えて原状回復といった他の費用も考える必要があります。なるべく利用料金の体系が複雑でなく、分かりやすいプランを用意している作業スペースを確保できると安心です。
さらに交通の便もポイントです。たとえばわざわざ隣の都道府県に作業スペースを確保しても、交通に時間が掛かると意味がありません。なるべく気軽に通えるような、交通の便がよく短時間で通えるところにしたほうがよいでしょう。
設備も確認しておきましょう。Wi-Fiや会議室など、使いたい設備が一通りそろっている作業スペースを選ぶと後で荷物を搬入したりする手間が省けますし、コスト削減にもつながります。
まとめ
今回は作業スペースの重要性をデータで確認しながら、その種類やメリット・デメリット、選び方などをご紹介してきました。
データでも分かるように、企業・従業員の双方が作業スペースの必要性を感じています。社外の作業スペースがあることで働き方が多様化しますし、コスト削減などのメリットまで得られます。
作業スペースを選択する際はコストだけでなく、利用目的や交通の便といった面でも比較を怠らないようにしてみてください。