経費削減とは?本質的な目的を理解しよう
経費削減とは、企業が事業を行う上で発生する費用を削ることで、コストカットやコストダウンとも呼ばれます。経費に含まれる費用は、オフィス家賃や光熱費、社員の給与、福利厚生費など多岐に渡ります。 経費削減は利益に直結するとわかっていても、売上増加を重視するあまり後回しにする企業も多いのが現状です。ただ、経費削減をおろそかにすると、売上や利益に悪影響が出るリスクがあります。 小さな経費削減で大きな利益増加が見られるケースは珍しくありません。経費ごとに細かくチェックし、必要な削減対策を無理のない範囲で実践することが大切です。経費の「削減」と「節減」はどう違う?
経費削減と似た言葉に、経費「節減」があります。経費の削減が、費用自体を減らすことを指すのに対し、節減は出費を切り詰めるために使用量などを減らすこと意味します。 削減とは、予算や予定を代替案などを使って減らします。一方、節減は節約の意味合いが強く、工夫によってより安いものを購入することや、無駄をカットすることも含まれます。 経費削減は経営レベルでのお金の使い方や出費の工夫ですが、経費節減は従業員や現場レベルでの工夫が対象と、根本的な対策方法が異なります。とはいえ、事業成長や経営安定化のためには、経費の削減と節減両方が必要といえるでしょう。経費削減の基本的な考え方
経費削減の基本的な考え方について解説します。経費削減の重要性を押さえたところで「何から取り掛かっていいかわからない」と感じる場合もあるでしょう。効果的な経費削減を実行するために参考にしてください。変動費よりも固定費を優先する
企業の経費を変動費と固定費に分け、固定費の削減から優先的に取り組みましょう。変動費とは、原材料費やクライアントとの接待交際費など、企業の販売数や受注数の影響を受ける費用で、固定費は事務所家賃や人件費など、毎月発生する費用を指します。 売上の増減に左右される上、多くの費用が事業活動に直結している変動費は、削減効果を見極めにくい傾向があります。一方、固定費は毎月の金額の変動が少なく、削減効果がイメージしやすいでしょう。現状コストの洗い出しから経費削減プランを計画的に実行する
経費削減の第一歩は、現状コストの洗い出しです。現在どのくらい費用を支払っているのか正しく把握することで、削減できる費用の種類や金額を見極められます。先に述べた変動費と固定費に分けるプロセスにおいて、費用ごとに過去の推移などを調べておくと良いでしょう。 また、経費には、来月から削減できるものもあれば、準備や実行に数ヶ月といった時間を要するものもあります。企業全体における現状を的確に把握し、丁寧なプランニングを行うことで、経費削減の効果を最大化できるでしょう。社内全体で長期的に取り組む
経費削減は、一部署だけでなく社内全体で長期的に取り組むことが重要です。経費削減の実践には、社員全員の協力が欠かせません。やり方を間違えると社員のモチベーション低下や離職、業績低下といったリスクも考えられます。 無理のない範囲で目標を設定し、定期的に効果の検証や改善を行うなど、長期的な視点を持つ姿勢が大切です。着実なプラン実行を通して「社内の体質」として定着し、快適に働ける労働環境づくりと売上の確保という好循環につながります。経費削減のアイデア5選
ここからは、具合的な経費削減のアイデアを紹介してます。自社に必要な対策や実行可能なものを検討してみましょう。事務所費用の見直し:家賃や光熱費
事務所費用は経費の中でも固定費に分類されます。下記の費用について見直してみましょう。- 消耗品
- 通信費(インターネット代・電話代・郵便費用)
- 水道光熱費
- 家賃
広告費や販促費の見直し:マーケティング・ターゲット明確化
広告費や販促費は、見直しによって費用を削減しつつ売上げアップにつなげられる可能性があります。例えば、オンラインマーケティングは、場所や時間を問わず人の目に触れる機会を作れます。 新聞や雑誌広告よりも多くの人にリーチしやすい上、年齢や性別、趣味嗜好といった細かなターゲティングにより効率的なアプローチが可能です。SNSなど無料で使えるツールを利用すれば、費用対効果の向上につながります。IT化や設備の見直し:クラウドサービス・中古機器
IT化は企業にとって経費削減だけでなく、業務効率化や従業員満足などにも影響します。IT化の具体的なアイデアとして、下記が挙げられます。- ビデオ会議・オンラインミーティングシステムの導入
- クラウド・サービスの活用(請求・契約・出勤管理など)
交通費や出張費の見直し:マイルやポイント活用
交通費や出張費の見直しも重要です。下記のような点に注目してみましょう。- 営業接待の見直し
- 高速道路のETC利用
- ハイブリッド車や電気自動車への切り替え(中古車を優先)
- ポイントやマイルを貯める
人件費の見直し:アウトソーシング
人件費の見直しも経費削減に効果的ではありますが、長期的な計画の元で熟考して実行する必要があります。急なリストラは他の社員への業務のしわ寄せを招き、モチベーション低下などのリスクにつながります。また、引き継ぎがうまくいかないと、生産性の低下や教育コストの増加といった悪影響も考えられます。 必要に応じたアウトソーシングやITシステムの導入は、人件費の削減に有効ですが、よく考えた上で実行する必要があります。削減してはいけない経費コスト
効果的な経費削減は、企業利益に大きく貢献しますが、削減してはいけない部分まで手を付けると逆効果です。単純に削りやすいからという理由だけでカットしてしまうと、業績悪化につながるリスクもあります。やってはいけない経費削減や、慎重に考えるべきコストを把握しておきましょう。社員への負担増加・モチベーション低下を招くもの
社員への負担が増える施策やモチベーション低下を招くものは避けるべきです。事務用品やOA機器のグレードダウンは、社員の業務負担が増えやすく逆効果です。また、社員への事前説明がないまま福利厚生費を急に削減すると、社員の反感を招く可能性があります。 人件費は経費の中でも多くを占める費用ですが、社員は企業の1つの財産であり、どう扱うかはデリケートなトピックです。人員減により残った社員の負担が増え、過労や体調不良を招く可能性も考えられます。危機的な状況でない限り、他の経費削減を優先できないか考えてみましょう。自社サービスや信用力に影響するもの
自社サービスや製品の質や評価を落としかねない経費削減は、売上低下を招くため注意が必要です。例えば、材料費の削減のために質を落とす、内容量を減らすといった方法は顧客が離れる要因になりかねません。 また、固定電話の解除やIP電話への切り替えなどで、信用力を失う可能性があります。顧客や取引先への事前報告、ホームページやSNS上での周知などを通して計画的に実行しましょう。事業利益への貢献効果があいまいなもの
事業利益への貢献効果があいまいな施策への判断には、注意が必要です。広告費や販促費、研究開発費などは効果がわかりづらい上、確認できるまでに時間を要します。 早々にカットしてしまうと、長期的な売上を作る地盤を崩すこととなり、結果的に業績悪化につながります。検証と改善の余地も考慮し、長期的なプランの元で実行しましょう。中小企業がやるべき4つの経費削減案とツール例
ここからは、中小企業向けの経費削減アイデアと、コスト削減に役立つツール例を紹介します。従業員が少なく、オフィス規模の少ない中小企業はちょっとした対策でも効果が得られる可能性があります。経費削減の参考にしてください。クラウド給与計算ソフト
クラウド給与計算ソフトは、毎月の給与を自動算出できるソフトです。従業員情報をあらかじめ登録しておくと、給料や税金、保険料を自動で計算してくれます。 情報はデータとしてクラウド上に自動保存されるため、使っているデバイスの容量を圧迫する心配がなく、簡単に検索できるため管理の手間も省けます。経理業務の効率化に加え、計算間違いや振り込みミスの予防にも効果的です。 給与計算ソフトの中には、勤怠管理機能や既存システムとの連携など付随機能が充実しているものもあります。無料トライアルやお試し版を使って、必要な機能が使えるソフトを選びましょう。 おすすめクラウド給与計算ソフト- freee人事労務
- マネーフォワードクラウド給与
マニュアル化
マニュアル化は経費削減を目的とした代表的なアプローチ方法です。マニュアルソフトやマニュアル制作ツールを用いることで、業務の均一化や情報共有などのメリットが得られます。 新しい担当者が読んですぐに業務に取りかかれるマニュアルを作るためにも、ソフトやツールを活用しましょう。紙ベースの基本的なマニュアルから動画マニュアルまで、幅広いフォーマットに対応できるツールが多数あるので、用途に適したものを選ぶことが大切です。 ただ、コスト削減効果を得るために、マニュアル化を定着化させ、必要なアップデートを随時行う仕組みも必要です。 おすすめマニュアル化ツール- COCOMITE
- wikipy
振込手数料
給与や経費の口座振り込み時に発生する振込手数料も、経費削減の対象です。中小企業は大企業と違って、従業員数が少ないため振り込み回数自体は多くないものの、適切な対処により効果的な節約につながります。 手数料を削減する方法はいくつかありますが、自社で取り組みやすい方法としてはインターネットバンキングの活用がおすすめです。振り込み金額にもよりますが、ATMや銀行の窓口での振り込みよりも手数料が安く、切り替え手続きも簡単に行えます。 他にも、ネット銀行への移行でも、振り込み手数料を下げることが可能です。大手銀行からネット銀行に移行するだけで手数料が1件あたり300円以上安くなる場合もあります。 おすすめネット銀行- GMOあおぞらネット銀行