ChatGPTをはじめとするAIサービスが急速に浸透する中、Googleが手掛けるグーグルバード(Google Bard)にも注目が集まっています。グーグルバードは対話型の生成AIを搭載しており、GoogleドキュメントやGメールなどのグループ機能と親和性が高く、さまざまな用途での活用が期待されています。
本記事では、グーグルバードの特徴から料金、できること、利用時の注意点まで詳しく解説します。ChatGPTとの比較も紹介しますので、ビジネスにおけるAIの導入や活用を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
※2023年12月時点での情報です。
グーグルバード(Google Bard)とは
グーグルバード(Google Bard)とは、Googleが開発した対話型のAI(人工知能)サービスです。生成AI(ジェネレーティブAI)を活用し、人間の会話に近い自然言語のやり取りを実現しています。
2023年2月にGoogleがグーグルバードのリリースと、Google検索などの同社製品に組み込む予定について正式発表しました。ちなみに、Bardとは「詩人」を意味する英単語です。
グーグルバードに採用されているLLM(大規模言語モデル)
グーグルバードでは、ベースとしてLLM(大規模言語モデル)の「PaLM 2」を搭載しています。以前は、LaMDAと呼ばれる対話アプリケーション向けのLLMを搭載していましたが、2023年5月にPaLM2への変更が発表されています。
LaMDAでは、膨大なテキストデータをAIに学習させることで、直前の単語から次の単語を高確率で予測する仕組みを構築しました。一方、PaLM 2では、100以上もの多言語テキストを学習し、推論やコーディング機能も向上しているなど、より高度な言語処理が可能です。
日本語対応を2023年5月に開始
グーグルバードでは、2023年5月11日から日本語対応がスタートしています。チャット画面で日本語を入力すると、質問に日本語で回答してくれるため、利便性が大幅にアップしました。
グーグルバードとChatGPTとの違いは?
対話型AIの代名詞とも言えるChatGPTとグーグルバードは、いずれもチャット形式のツールです。ただ、最も大きな違いとしては、Google検索と連動して回答を生成する点にあります。
グーグルバードでは、無料版でもGoogle検索で得られたインターネット上の最新情報も含めて、鮮度の高い回答を返すことが可能です。現時点では、有料プランのChatGPT Plusに登録しないと、Webブラウジング機能を使用できません。
加えて、ChatGPTでは最新モデルのGPT-4を使いたい場合にも、有料版への登録が必須ですが、グーグルバードは無料版で利用することが可能です。さらに、Googleドキュメントやスプレッドシート、Gメールなどと連携できる機能が付いており、グーグルバードの文面を下書き保存できます。
グーグルバードの利用料金
グーグルバードは現在無料で利用でき、1日あたりの回数制限なども撤廃されています。Googleアカウントが必要なため、持っていない場合は無料会員登録を行うことで、すぐに利用できます。
グーグルバードでできること
グーグルバードの高い自然言語処理能力を活用して、さまざまな使い方が可能です。ここでは、グーグルバードを使ってできることを紹介します。
プログラミングコード作成
グーグルバードはプログラミング言語の扱いも得意なため、Webサイトやアプリケーションなどのソースコード作成を依頼できます。また、既存のコードの精査や修正も対応可能です。
文章の作成や要約・校正・校閲
グーグルバードを使って、対話形式のチャット上で文章の作成や要約、校正・校閲などを依頼できます。作成にあたって、文章のテイストや箇条書きなどのスタイルも合わせて指定するとスムーズです。
言語翻訳
英語や日本語をはじめ、多くの言語を翻訳することが可能です。海外との取引など日本語以外の言葉を使いたい場合に、グーグルバードを使うと簡単に文章を作成できます。
ブレインストーミング
グーグルバードでは、アイデア出しやブレインストーミングも可能です。質問にアイデアが欲しい分野や条件を入力すると、複数の回答が得られるため、客観的な提案が必要な場合に役立ちます。
画像検索
Googleは、2023年5月23日からグーグルバードが画像検索に対応したことを発表しました。現在は英語のみですが、どういった画像が欲しいのか入力するだけで、画像を表示してくれます。
位置情報に対応した情報回答
Googleマップのいち情報にも対応しており、スマホなどの端末の位置情報をグーグルバードで許可すると、関連性がより高い回答を得られます。ユーザーの現在位置の周辺にあるレストランやカフェ、コンビニなどを回答してもらえます。
グーグルバードの活用事例
ビジネスにおけるグーグルバードの活用例として、以下のようなものが挙げられます。
- 営業や人材採用などで使う定型文の作成
- メールマガジンやキャッチコピーの作成
- マーケティング分析や市場調査の要点の抽出
- Webページやコラムなど長文の要約
- インタビュー台本やトークスクリプトの作成
- 出張先の旅程や滞在場所の提案
- 画像検索や参照元の確認
上記以外にも、業界や職種、業務などに応じてさまざまな使い方が考えられます。
グーグルバードの始め方
グーグルバードの無料版なら簡単に使い始めることが可能です。Googleアカウントをすでに持っている場合は、以下の手順でスタートできます。
- 「Google Bard」にアクセスし、Googleアカウントでログインする
- 「Bard を試す」をクリックする
- テキストボックスに質問を打ち込んで会話する
グーグルバードを使うときの注意点
グーグルバードは優秀なツールですが、完璧ではないため、注意すべき点もあります。ここでは、グーグルバードを仕事や事業で活用する際の注意点を解説します。
回答が正しいとは限らないことを前提とする
グーグルバードは、現時点では100%正しい回答を作成してくれるとは限りません。ChatGPT同様に、生成AIサービスは搭載しているAIが学習しているデータを元に回答するため、参照データに間違いがあると回答にも反映されてしまいます。
そのため、回答内容を活用する前に自分で必ず内容を精査することが大切です。グーグルバードの画面にある「Googleで検索」をクリックして情報の信頼性をチェックできます。
個人情報や著作権に注意する
グーグルバードなど生成AIでは、個人情報の流出や著作権の侵害なども問題視されています。気づかないうちに機密情報や著作権の付いた情報を扱い、トラブルにならないよう事前確認が必要です。
なお、グーグルバードでは適切な回答を提供するために、位置情報や過去の会話履歴を最長3年間保管すると公表しています。当然ながら保管情報の安全性は確保されているとはいえ、不正なアクセスや第三者の悪用の可能性も考えられます。安易に個人情報を入力しないよう徹底するとともに、「Bardアクティビティ」から会話の履歴を消去しておくと無難です。
まとめ:グーグルバードをビジネスに役立てよう
グーグルバードは、無料版でもインターネット情報を盛り込んだ回答を得られる点が特徴です。また、Google検索やGoogleサービスとの親和性が高く、ビジネスユースにも向いており、業務効率化を促進できる可能性があります。
テキストに加えて画像や音声に関連付けるマルチモーダル機能も公表されており、今後ますます利便性が高まっていくと期待されます。自分のビジネスや仕事に役立つ使い方を見つけてみましょう。
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