安定的にビジネスを継続するためには運転資金が必要です。ただ、目安としてどれくらい用意すべきかわからない方もいるでしょう。運転資金は意外と簡単な方法で計算できます。今回は運転資金の計算式をなぜその式で表せるのか理由も含めて解説します。不足を防ぐための対処方法にも触れているので、あわせて参考にしてみてください。
運転資金の計算式
運転資金は、会社の運営に必要な費用をまかなう資金です。従業員の給料や光熱費、家賃、広告宣伝費、仕入れ資金などが該当します。
運転資金が不足すると事業を継続できなくなり、最悪の場合では倒産するリスクもゼロではありません。確保しておくべき運転資金を計算しておくことが重要です。
運転資金の計算式は下記の通りです。
運転資金=売掛金+棚卸資産(在庫)-買掛金
売掛金、棚卸資産、買掛金の意味は下記の通りです。
売掛金 | 販売したけれどまだ回収していない金額 |
棚卸資産 | 調達したけれどまだお金になっていない商品など |
買掛金 | 購入したけれどまだ支払っていない金額 |
具体的に計算例も挙げてみます。
たとえば、売上債権が600万円、棚卸資産が400万円、買掛金が500万円だったとしましょう。
運転資金の計算式は下記の通りです。
運転資金
=600万円+400万円-500万円
=500万円
運転資金が計算できる理由
なぜ、売掛金と棚卸資産、買掛金から、運転資金を計算できるのか、疑問に思う方もいるでしょう。
日本の企業では、現金取引ではなく掛取引が行われていることが関係しています。
掛取引は、商品と代金を同時に交換するのではなく、商品を購入してから後日にお金を支払う取り引きです。一般的に現金が入金されるのは1~2か月後となっています。
ただ、入金されるまでに人件費や家賃、水道光熱費、新たな商品の購入費などを支払わなければなりません。
したがって、入金までの支払いにあてるためのお金が必要です。
そこで、本来なら手元に残っていてさまざまな支払いに使えるはずの金額を算出する必要があります。
このような考えのもと、売掛金と棚卸資産から買掛金を引いた額を運転資金として算出するというわけです。
業種によっては、投下した資金の回収が1年以上かかることもあります。売上債権の回収が遅延したり、不良債権になったりするリスクもゼロではありません。
したがって、トラブルを想定して半年分の運転資金を用意しておいたほうがよいといわれています。
運転資金の不足を防ぐための対処方法
運転資金の計算方法をお伝えしました。確保すべき運転資金の目安がおわかりいただけたでしょう。
ただ、世界情勢や災害の発生などによって、原価が高騰したり人件費の賃上げが求められたりすることもあります。想定した以上に運転資金が必要になり、不足する場合もあるでしょう。
運転資金の不足を防ぐための対処方法をいくつか解説します。
銀行や政策金融機関から融資を受ける
銀行融資によって運転資金を確保する方法があります。信用度が高い会社であれば、数千万円~1億円ほどまで借りられる場合もあります。ただし、融資まで1か月以上かかったり、担保の差し入れを求められたりすることもあります。
銀行融資以外に資金を調達する方法として、日本政策金融公庫の融資制度も利用可能です。たとえば、新型コロナウイルス感染症の影響によって一時的な業績悪化に見舞われた方を対象として、特別貸付が実施されています。
資金の使い道は、感染症の影響にともなう社会的要因により必要となった運転資金とされており、融資限度額は8,000万円です。ただし、業績の回復や発展が見込まれる場合に限られているので、必ずしも融資が受けられるわけではありません。
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Re:ZONE
固定費を見直す
運転資金の負担を増やす要素として挙げられるのが固定費です。たとえば、事業の拠点となる建物の賃料が該当します。
社員の人数に適したスペースの建物に移転すれば、賃料を減らせる可能性が高いです。また、社員が自宅から近い場所で働ける拠点を用意すれば、交通費の支払いも削減できます。
このように固定費を見直せば、用意すべき運転資金も減らせるため、事業を安定的に継続しやすくなるでしょう。
業務フローを改善する
業務フローに無駄があると、余計な人件費が発生するケースがあり、運転資金の不足を招く原因となりかねません。運転資金が不足しがちな場合は、業務フローの改善も検討してみましょう。
たとえば、受付に社員を配置すると、来訪者がいない時間に対して、無駄な人件費が発生してしまいます。その点、受付システムを導入して受付業務を自動化すれば、人件費の無駄を削減可能です。
業務フローの無駄を見直して、人件費を削減できないかどうか検討してみましょう。
会計や資金繰りの専門家に相談する
運転資金の計算に少しでも不安があれば、計算の専門家がいる会計事務所に相談する方法も検討してみましょう。たとえば、開業する場合に必要な運転資金などについて、具体的に必要となる目安金額をアドバイスしてくれます。
また、運転資金を安定して調達できるようにサポートしてくれるコンサルティング会社も存在しています。財務内容の実態把握や資金調達戦略の立案、金融機関との交渉支援などを依頼することが可能です。必要に応じて支援を受けてみてはいかがでしょう。
参考:
運転資金の課題を解決するにはレンタルオフィスも検討!
運転資金の不足に対処する方法として固定費を見直す方法をお伝えしました。具体的に固定費を見直す方法として検討できるのがレンタルオフィスです。
レンタルオフィスはビジネスに必要なスペースを借りられるオフィスサービスです。インターネットなどの利用料も発生しません。事業規模に適したスペースを選べるので、固定費を削減しやすいです。
参考としてRe:ZONEについてご紹介します。
Re:ZONE
Re:ZONEは、1部屋29,700円からの料金でビジネスに必要なプライベート空間を確保できるスモールレンタルオフィスです。
必要十分なサービスを提供することで利用料金を削減しているほか、インターネット利用料も発生せず、固定費の見直しに役立ちます。
共用部に防犯カメラが設置されており、スマートロックの入室管理などにも対応しています。自社でセキュリティ設備を維持する必要もないので、セキュリティ費用の削減にも効果的でしょう。
オフィスの内装については内覧で確認できます。気になった方は下記の予約フォームから内覧を申し込んでみてください。
まとめ
今回は、運転資金の計算式について計算できる理由や不足を防ぐための対処方法などについて解説しました。
運転資金の計算式は下記の通りです。
運転資金
=売掛金+棚卸資産(在庫)-買掛金
計算の結果、本来なら手元に残っていてさまざまな支払いに使えるはずの金額がわかります。
運転資金が不足すると事業の継続に支障をきたすリスクが高まります。
必要に応じて、銀行や政策金融機関からの融資、固定費の見直し、業務フローの改善、専門家への相談なども検討しましょう。
なお、不必要に広い事務所だと余計な賃料が発生してしまいます。レンタルオフィスの利用を検討するなどして、固定費を見直してみるとよいでしょう。