合同会社の設立を検討するときに決めなければならないのが資本金です。株式会社とは違う設立形態であるため、金額の目安がよくわからない方もいるのではないでしょうか。今回は、合同会社の概要をおさらいするとともに、合同会社の設立に必要な資本金の目安や、経営で無駄にしない方法を解説していきます。実際に設立された合同会社の資本金についても紹介しているので、目安として参考にしてみてください。
そもそも合同会社とは?
合同会社は、経営者と出資者が同一で、出資者が有限責任者である企業です。ここでいう有限責任は、出資金の範囲内でしか責任を追わないことを意味します。
株式会社の場合、経営者と出資者が異なり、出資者は直接会社経営を行えません。その一方で合同会社は、出資者である経営者が直接経営を行いながら経営陣を選任・解任できます。
東京商工リサーチの2021年「全国新設法人動向」調査によると、2021年(1~12月)に新しく設立された法人のうち合同会社は3万6,934社であり、新設法人の4社に1社を占めていることがわかりました。
設立コストが安いことや、株主総会が不要であることなどのメリットが、設立数の増加につながっているようです。
参考:2021年「全国新設法人動向」調査(東京商工リサーチ)
合同会社の設立における資本金の目安
設置コストが安いメリットのある合同会社ですが、資本金はどれくらい必要なのでしょうか?
合同会社の資本金は、原則として1円以上であれば問題ありません。経営者である社員が支払うので、金額は自由に設定できます。
ただし、資本金は合同会社の設立にあたって経営の元手になる資金です。たとえば下記のような費用として使われます。
- 設立手続きの依頼費用
- 設立登記費用
- 設備の購入費
- 事務所や店舗の賃料
- 内装工事費
- 事業運営に必要な人件費
- 原材料や商品の購入費用
- 水道光熱費
- 通信費
一般的に設立から3か月~半年の期間は経営が安定せず、資本が不足しがちです。売上が生じなくても経営を続けられるよう、50万円~300万円を目安にすることが多くなっています。
もちろん、事業内容や会社の規模などによっても、必要な資本金の金額は変わってきます。使い道を慎重に検討して決定しましょう。
合同会社の設立にかかった資本金の例
合同会社の設立で資本金の金額を決めるときの参考になるよう、実際に設立された合同会社の資本金を事業内容や従業員数とともに確認してみましょう。
合同会社名 | 事業内容 | 従業員 | 資本金 |
ユニバーサル ミュージック合同会社 | 音楽ソフトや映像ソフトなどの企画・制作・販売 | 約550名 | 295億200万円 |
シスコシステムズ合同会社 | ネットワークシステム、ソリューションの販売、これらに関するサービス | 1,300 名(2021 年 時点) | 4億5,000 万円 |
Apple Japan合同会社 | Mac・iPodに代表されるアップル製コンピュータや周辺機器、アプリケーションの輸入販売・研究開発 | - | 1億2,800万円 |
P&Gプレステージ合同会社 | 日本における化粧品、ビューティーケア製品、医薬品などの販売・輸出入 | 約1,500名 | 1億円 |
合同会社サンライズジャパン | 外国人労働者の人材紹介 | - | 501万円 |
合同会社ネクストメディア | ホームページ制作、ネットショップ運営サポートなど | 5名(2021年時点) | 100万円 |
合同会社クラウドスタッフィング | ビジネスマッチング事業、インターネット等を利用した情報提供サービス、在宅ワークの支援およびコンサルティングなど | 20名 | 100万円 |
合同会社みらい | 福祉事業 | 55名 | 50万円 |
合同会社アシスト会社 | 経営コンサルティング事業、教育・研修事業、カウンセリング事業など | - | 10万円 |
アマゾンジャパン合同会社 | Amazon.co.jp のオンラインストア・物流倉庫・カスタマーサービスセンターの運営 | グループ総数 647,500名(2018年時点) | 非公開 |
知名度の高い合同会社や従業員が多い合同会社などだと、資本金が1億円を超えるケースも珍しくありません。その反面、知名度の低い合同会社や従業員が少ない合同会社だと、資本金は10万円~100万円ほどになっています。そのほか、資本金を非公開にしている企業もありました。
合同会社の資本金を多くするメリット
実際の合同会社に着目すると、資本金を10万に設定する企業などが見受けられました。資本金が少なくても合同会社を立ち上げられることがわかります。
ただ、合同会社の資本金を多くすることで得られるメリットもあります。
たとえば、会社としての信用力を高めやすいことがよい例でしょう。仮に資本金を1円で設立した場合、会社として事業が破綻しないか、不安に思われてしまう恐れがあります。
反対に資本金が多ければ、将来的な事業の安定性を示せます。仕事の契約を結んでもらいやすくなるほか、金融機関から融資を受けやすくなる可能性も高いです。
なお、合同会社の資本金は事業拡大のタイミングに応じて増やすことも可能です。既存社員が追加で出資する方法と、新社員を追加して資本の額を増加させる方法があります。なお、増資にあたって定款を変更しなければなりません。
ビジネスを円滑に展開したい場合は、合同会社を設立するときの資本金が少なすぎないか、あらかじめ慎重に検討しましょう。
合同会社の資本金を無駄使いしないためにはレンタルオフィスも検討
資本金の目安は50万円~300万円だとお伝えしましたが、使い方を誤れば水のように流れて消えてしまいます。資本金を無駄遣いしない工夫も必要です。
設立時に資本金を無駄遣いしない方法としておすすめなのが、レンタルオフィスの利用です。レンタルオフィスは、月額料金を支払ってビジネスに必要なワークスペースを確保できるサービスです。
ビジネスに必要な設備環境がもとから整っているため、初期費用を抑えて事業をスタートできます。レンタルオフィスのサービスとして、参考にRE:ZONEをご紹介していきます。
Re:ZONEは、1部屋29,700円からビジネスに必要なプライベート空間を利用できるスモールレンタルオフィスです。
敷金や礼金、家具代、インターネット利用料金が発生しないため、合同会社を設立するときの初期費用を削減できます。
また、防犯カメラやスマートロックも導入されており、費用をかけずに安心して仕事に打ち込めるセキュリティ環境も用意できます。
最短で申込日から1週間ほどで入居可能です。合同会社をスムーズに立ち上げたい方にも役立つでしょう。
なお、オフィスの内装については内覧で確認できます。利用を検討する方は、下記の内覧予約フォームから予約してみてください。
まとめ
今回は合同会社の概要をおさらいするとともに、合同会社に必要な資本金の目安や、実際の合同会社が設定した資本金の例をご紹介しました。
合同会社を立ち上げるときの資本金は原則として1円からですが、事業が安定するまでに必要な経営資金をふまえて、50万円~300万円を目安に設定されることが多くなっています。
資本金を確保できても、使い方を誤れば事業を継続できなくなる恐れがあります。できるだけ立ち上げ段階のコストを抑えたほうが無難です。今回紹介したようにレンタルオフィスによる初期費用の削減も検討してみてください。