新しい働き方がコロナ禍で加速
コロナ禍を通して新しい働き方を取り入れる企業が増加しました。企業規模により差がありますが、従業員数1万人以上の企業ではテレワーク実施率が高く、正社員に限るとテレワーク実施率は、2021年7月には2020年4月の27.9%に並ぶ27.5%となりました(※1)。 また、別の調査では対象の半数以上が「アフターコロナ(緊急時だけでなく平常時)にも変化した働き方を続けたい」と回答しています(※2)。 2021年に入ると状況が落ち着き始め、従来の働き方に戻す企業も多く見られました。ただ、変異株の登場など不安定な状況を考慮すると、テレワークを含む新しい働き方の導入ニーズは高いといえるでしょう。 (※1出典:パーソル総合研究所「第五回・新型コロナウイルス対策によるテレワークへの影響に関する緊急調査」https://rc.persol-group.co.jp/news/202108171000.html) (※2出典:NRI野村総合研究所「【第13回】_新型コロナウイルス対策緊急提言」/https://www.nri.com/-/media/Corporate/jp/Files/PDF/keyword/proposal/20200420.pdf?la=ja-JP&hash=A19B267F6BB3C75C1BC904B5ECF35A33A5E4CBD8)新しい働き方でのオフィスの役割
新しい働き方の導入や在宅勤務やリモートワークの定着に伴い、オフィスの役割も変わってきています。ニューノーマルともされる現代において、オフィスに求められる役割は、主に次の項目です。- 対面コミュニケーションによる関係の円滑化
- 働き方の選択肢の拡大
- 帰属意識の向上
- クリエイティビティへの貢献
新しい働き方を導入した事例2社
ここで、コロナ禍のタイミングで新しい働き方を取り入れた事例を2つ紹介します。自社での実践のために参考になるポイントを見つけてみてください。コクヨ:新しい働き方実現に向けたオフィスリフォーム
文具やオフィス家具で有名なコクヨ株式会社では、2020年に新しい働き方を実現するオフィスリフォームを行いました。霞が関オフィスでの取り組みにおける主なポイントとして、下記の点が挙げられます。- 座席数約50%減・全席フリーアドレス運用
- 通路幅2m・右側通行ルールの採用
- 出入口の見直し
- レイアウト変更で2mの間隔を確保
- 複合機コーナーの定位置設定で密を回避
プラザクリエイト:リモートと出社を併用するハイブリッド体制
イメージング店舗やモバイル店舗を展開するプラザクリエイトは、リモートと出社を併用した「ハイブリッド体制」を導入しました。出社するか在宅勤務するかを個人が柔軟に選択できる反面、生産性向上や業務効率化に役立てるためにガイドラインやルールを設定し、運用しています。新しい働き方におけるテレワーク3つの種類
ここで、厚生労働省が推奨するテレワークの種類を紹介します。インターネット回線など情報通信技術(ICT)を使った柔軟な働き方であるテレワークには、3つの種類があります。何気なく使っているテレワークという言葉をより効果的に活用するために、ぜひ参考にしてください。在宅勤務
在宅勤務は、オフィスに出勤せず自宅で就業するスタイルです。通勤負担が軽減でき、時間も節約されることで、ワークライフバランスの向上が見込めます。育児や介護などに携わる社員や障がいなどで通勤が難しい社員なども、時間を有効活用でき、キャリア継続が可能です。 必要に応じてビデオ会議やオンラインチャットなどのツールを使用してコミュニケーションを取ります。インターネット通信環境の整備や、データや資料を持ち出す際のセキュリティ対策など、初期費用がかかる場合があります。モバイルワーク
モバイルワークとは、就労場所を指定せず、移動中の車内やカフェなどさまざまな場所から働ける形態です。営業職など外出が多い職種では、移動中や出先での時間を有効活用できるため、業務効率の向上が期待できます。 コミュニケーションツールなどを通してオンライン上で業務連絡ができると、オフィスに戻る手間が省けます。また、身体の健康維持に貢献しやすい点もメリットです。サテライトオフィス
サテライトオフィスとは、所属オフィス以外に就労場所を持つ働き方を指します。都市部のオフィスに郊外から通っている社員などが、より近い場所にあるサテライトオフィスを利用することで、通勤時間の節約が可能です。業務外の時間を有効活用でき、プライベートの充実によるワークライフバランスの向上にもつながります。 地方における遠隔勤務では、空き家や複合施設を活用することで、ローカルエリアにおける迅速な顧客対応や移動時間の削減が期待できます。レンタルオフィスや複数の企業でのフロアシェアなども有効です。新しい働き方でテレワークを採用する際の5つのポイント
今後、新しい働き方の一環としてテレワークを導入する際に、意識すべき5つのポイントを紹介します。スムーズなテレワークの運用を進めるために、ぜひ活用しましょう。1. コミュニケーションツールの導入と活用
テレワークでは、オフィス勤務のように気軽に社員同士がコミュニケーションを取ることが難しいため、コミュニケーションツールの整備が必要です。自社の状況や個人のテレワークに適したコミュニケーションツールを選びましょう。 多くのツールでは、ビデオ通話やオンラインチャットなど基本機能に加えて、タスク管理やスケジュール共有、データ保管など幅広い機能が備わっています。社員個人のITスキルや予算に応じて、必要充分な機能が使えるものを選ぶと浸透しやすいでしょう。2. セキュリティ管理や情報漏えい対策
新たにテレワークを導入する際に最も注意すべきなのが、情報漏えいのリスクに対するセキュリティ対策です。主な具体例として、下記ポイントが挙げられます。- 不正アクセス対策:ファイヤウォールやIPS(侵入防止システム)導入
- データ盗聴・改ざん防止策:VPN(仮想私設網)など通信インフラ整備
- PCなど端末の管理・情報漏えい対策:ウイルス対策ソフト・端末操作制御ソフトの導入