確定申告を行うのは引っ越し後の管轄税務署!納税地の概念に注意
まず結論として、引っ越しを行った場合個人事業主は「引っ越し後の納税地」で確定申告を行い、書類を提出する必要があります。ここで注意したいのは「納税地」という言葉です。 納税地は個人事業主として独立した際に提出する「開業届」で、納税者が決めることができます。自宅を納税地にしている場合は、自宅の引っ越しがあったときに納税地が転居後の住所に変わります。 しかし仮に事業用の拠点を用意してそこを納税地に指定した場合、自宅ではなく拠点が引っ越しになった際に納税地が変わるのがポイントです。要は納税地がどこに当たるのか確認しておき、引っ越しの際に確定申告する管轄税務署が変わるかどうか把握しておく必要があります。 ちなみに引っ越しの時期が ・確定申告対象年度の1月1日~12月31日中に発生した ・確定申告対象年度翌年(当年)の確定申告前に発生した というどちらのタイミングでも、納税地は引っ越し後の住所になるので注意しましょう。 引っ越し前と引っ越し先の住所がそんなに離れていない場合は、確定申告する税務署が変わらない可能性があります。ただしケースによっては「距離的には近いが管轄税務署が別にある」という場合もあるので、引っ越し後の管轄税務署がどこなのかいちおう確認しておくと安心です。引っ越しする際は確定申告関連の書類以外にも書類が必要!どんなものが必要かまとめてみた

所得税(消費税)の納税地の異動又は変更に関する届出書
・自宅を納税地にしていた際、納税地を事業所へ変更する場合 ・事業所を納税地にしていた場合に、納税地を自宅に変更する場合 といったように、納税地が何かしらの理由で変更される場合に提出する書類です。 提出時期は「納税地を異動した後すぐに」です。明確な期限は定められていませんが、遅延すると後の処理が面倒になる可能性があるので早めに提出しておきましょう。 引っ越し前の管轄税務署へ持参、あるいは郵送で対応してもらえます。個人事業の開廃業等届出書
・新規で事業所を新設や増設、移転、廃止したとき ・事業自体を廃止したとき に必要な書類です。 提出期限は「事業が開始する事実が判明した日から1か月以内」になっています。引っ越しで提出する場合は引っ越し後1か月以内で問題ありません。 ただしこの書類は、納税地変更にかかわらず提出する必要がある点に注意しましょう。つまり確定申告の納税地が自宅で引っ越ししていない場合でも、事業所が引っ越しした場合は問答無用で提出する必要があるということです。 引越し前の管轄税務署へ持参するか送付することで受理されます。給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書
もし個人事業主として他に従業員を雇っている場合、雇用主としてこの書類を提出する必要があります。フリーランスで1人業務をこなしている場合は提出の必要がありません。国税庁では「給与を支払う対象者が、国内で事業所を開設、あるいは移転・廃止した場合に所轄税務署長へ届け出るための書類」としています。 提出時期は「事業所が開設、移転や廃止してから1か月以内」です。引っ越しの場合は引っ越し後1か月以内で問題ありません。 引っ越し前の管轄税務署へ、持参あるいは送付すれば大丈夫です。預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書
口座振替で納税を処理している場合は、この書類の提出も必要です。提出せずに納税先が以前の税務署のままになっている場合、新しい税務署で納税を行っていない状況に陥るかもしれません。 提出タイミングは「納税地に変更があった後すぐ」です。要は個人事業の開廃業等届出書、と同じタイミングになっています。細かい期日の指定はありませんが、他の必要な書類と同じタイミングでまとめて提出してしまいましょう。 納税地変更前の管轄税務署へ持参、あるいは送付で受理されます。 ちなみに国税庁では「引っ越し後の税務署へ新規で口座振替依頼書を提出する方法でも受理可能」としています。自分の状況に応じて適した方法で振替変更ができるよう、他の注意点含めて国税庁公式サイトも確認しておいてください。滞在が1年以上だと廃業扱い?海外へ引っ越した場合の確定申告はどうなる

非居住者になると廃業手続きが必要
・海外へ引っ越す ・引っ越しの期間が1年を超える といった条件に当てはまる場合、日本では非居住者とみなされます。そのため日本での納税義務がなくなります。 ただし事業を海外へ移転する場合は、廃業の手続きが必要です。一度日本で廃業して、海外で再スタートを切るようなイメージになります。 海外の引っ越しはある程度規模の大きいものになるでしょうから、国内間での引っ越しよりさらに余裕を持って準備をしておく必要があります。 ちなみに非居住者扱いになるケースでは、 ・個人事業の開業・廃業等届出書 ・所得税の青色申告の取りやめ届出書 といった書類も必要になるので事前に内容を確認してみてください。居住者のままだと日本での納税は継続に
海外へ引っ越しする際も、 ・日本へ住所を残したまま ・海外へ1年未満しかいない といったケースでは国内居住者とみなされます。 日本に居住したままなので、当然国内での納税義務も継続です。また海外で稼いだ所得も申告に含める必要があるので、計算に注意する必要があるでしょう。不動産所得などが国内で発生している場合は納税管理人の届け出が必要
非居住者であっても、「不動産所得が国内で発生している」といったケースがあります。こういった場合は国内で発生した所得を、日本の管轄税務署へ納税する必要があります。 ちなみに国内への納税を本人が行うのが難しいケースでは、「納税管理人」を指定することが可能です。納税管理人に指定された人が、代理で国内の納税を行ってくれます。 納税管理人は ・家族 ・法人 といったように自分で選べます。ただし「所得税・消費税の納税管理人の届出」を提出して受理される必要があるので、引っ越し前にじっくりと誰を納税管理人にするか決めておきましょう。引っ越し費用は経費になる?事務所を住居としても使う場合は注意が必要

引っ越し先が完全な事業所である場合は、すべて経費計上可能
引っ越し先が完全に事業所として独立している、要は住居として済むことを想定していないケースであれば話は簡単です。引っ越し費用をすべて経費として計上可能になっています。 経費は事業で必要になった費用です。事業所の引っ越しに伴う費用は事業に必要な分なので、当然プライベートは介入しません。10万円でも100万円でも、全部経費計上して節税してみましょう。 ちなみに住居兼事業所から、新たに事業所を切り離して引っ越しする場合も同じです。以前は住居と事業所が同じでしたが、引っ越しによって事業所だけが新設されるので、すべてビジネスに必要な経費とみなされます。引っ越し先が住居兼事業所の場合は、全額を経費計上できない
注意すべきなのは、引っ越し先が住居兼事業所の場合です。 住居兼事業所は事業所としても使いますが、寝泊りや食事といった生活を行うプライベートの拠点にもなります。よって全額を経費計上することはできず、「家事按分」という方法でプライベート分を切り離して計算しないといけません。 ちなみにこれから生活および事業をしていくときも、水道光熱費やインターネット通信費、その他もろもろの費用を家事按分する必要があります。家事按分が面倒な場合は、後ほどご紹介する会計ツールを活用していきましょう。引っ越し費用を経費計上する場合の複式簿記の方法
ここからは引っ越し費用を経費計上する場合の、複式簿記の付け方を見ていきましょう。引っ越しサービス利用に伴う費用
引っ越しサービスを利用して引っ越しした場合は、サービスの利用自体は雑費で分類しましょう。ただしダンボールといった引っ越しに使った資材等は荷造運賃になります。敷金・礼金
敷金と礼金は経費上扱いが異なります。 まず敷金については、契約終了後戻ってくるお金です。一時的に預け入れしているような状況であるため経費計上できません。そのため資産として計上しますが、もし原状回復費用が発生した場合はその分を修繕費として経費計上可能です。 礼金の場合は経費計上が可能です。ただし20万円を下回る場合は地代家賃、20万円以上である場合は長期前払費用となるので注意してみてください。不動産業者への仲介手数料
不動産業者へも仲介手数料を払う必要性が出てきますが、その費用は支払手数料として計上可能です。ある程度まとまった金額になるので計上を忘れないようにしましょう。事業所を新築・購入した場合の費用
たとえばマンションを新規購入した場合、構造や損耗具合などで耐用年数が変わってきます。そして減価償却費として必要な分を計上しないといけません。 他にも固定資産税などを考える必要があり計上が面倒になるケースもあるので、気を付けて計算してみてください。住居兼事業所の場合は注意!家事按分について解説

前もって書類を提出して楽に!引っ越しが発生するときの確定申告回りのポイント

引っ越しする前になるべく各書類の提出を済ませる
確定申告は対象年度の翌年、3月といったタイミングで行う必要があります。このため引っ越し前にすべての手続きを済ますのは難しいです。 ただし確定申告の書類以外で必要な書類は、引っ越し前の税務署へ事前に提出できます。引っ越しが確定して予定まで決まっていたら、余裕があるタイミングで書類を作成して提出へ行きましょう。 ちなみに確定申告自体の手間も、ツールを使うといった方法で削減可能です。確定申告を含めて準備は事前に済ませ、提出可能になっている書類はすぐに提出できるように準備をしておくと業務が圧迫されずに済むでしょう。住民税の支払い先を確認
もし住民税の支払いを行う場合は、「1月1日時点での居住地によって納税先が決まる」点を頭に入れておいてください。 たとえば1月1日時点では前の居住地、3月1日時点では引っ越し後の居住地にいる場合、住民税の納付通知書は引っ越し前の地方自治体から届きます。引っ越し後になぜ引っ越し前の地方自治体から書類が届くのか、混乱しないように心構えをしておきましょう。 ちなみに住民税に関しては引っ越し前後で面倒な手続きは特に発生しません。各保険制度の手続きが必要か確認する
個人事業主が引っ越しした際は、各保険手続きが発生する可能性があります。 たとえば「国民健康保険」については、引越しして14日以内に手続きを行わないといけません。引っ越し前後で役所が変更になる場合は、それぞれで手続きを行う必要がある点にも注意してください。 また従業員を雇用して業務を遂行している場合、 ・常時5人以上雇用している場合は社会保険 ・常時1人以上雇用している場合は労働保険 へ加入する必要があります。 そして事業所自体が引っ越しになる場合は、社会保険や労働保険に関する手続きも発生します。詳しくは日本年金機構といった該当の機関へ問い合わせてみましょう。確定申告ツールを利用する
上記のように、引っ越しの際に考えなければならないことは確定申告だけではありません。ですから確定申告の手間自体をなるべく抑えて、他の作業に時間を回せるようにすると安心です。 もしいまだに紙で確定申告している場合は、確定申告ツールを使って作業を行うようにしてみてください。確定申告ツールには ・項目の指定・入力だけで家事按分が自動計算される ・クレジットカードなどと連携、自動で経費等を反映してくれる ・そのまま確定申告書の作成に移行できる といった機能があり、紙で計算するよりも正確に、そしてスピーディーに申告が可能です。 確定申告ツールを手軽に導入したい場合は、クラウド版を利用してみてください。無料で利用できるプランも用意されており、自動でアップデートされるので税制変更にも柔軟に対応できます。 確定申告ツールがあれば、日々の帳簿付けが習慣づけされやすいです。紙で実行すると面倒ですが、ツールだと数分くらいでも毎日の計上が終わるからです。ちなみにツールを利用する場合は、複式簿記を行い青色申告書を作成するのがおすすめになります。空いた時間を節税へ活かしてみてください。まとめ
