- 甲斐様
- アロマセラピスト/アロマケアルームYorisoi運営。出産前は接客業・サービス業、事務職に従事し、目の前の人に喜んでもらうことを大切に仕事を続けてきた。出産後、子育てサロンや児童館でアロマケアに触れたことをきっかけに、福祉的なアロマや介護アロマに関心を持つ。子育て中にご両親の持病悪化とお父様の看取りを経験し、「何もしてあげられなかった」という悔いから、本格的に介護アロマを学ぶ道へ。現在は、レンタルオフィスRe:ZONEを拠点に「アロマケアルームYorisoi」を運営し、サロンでの施術と地域への訪問ケアを展開している。子育てや介護等に向き合う人が、気兼ねなく立ち寄れる場所づくりを目指している。
何もできなかった悔しさが、事業の原点になった
人を喜ばせたい思いから、福祉的なアロマとの出会いへ
——これまでのご経歴と、アロマの世界に入られたきっかけからお聞かせください。
もともと出産前は、接客業やサービス業、事務職に従事していました。どの仕事においても一貫して大切にしていたのは、目の前の方に喜んでいただくことです。
自分が笑顔で接することで、相手にも少しでも明るい気持ちになっていただけたら、という思いを持ちながら日々向き合っていました。
出産を機に退職した後、子育てサロンや児童館でアロマケアに触れる機会があり、初めて福祉的なアロマの存在を知りました。
心身がやわらいでいく感覚に強く惹かれ、さらに調べるうちに、介護アロマという分野に関心を持つようになりました。
——介護アロマに関心を持たれてから、本格的に学ぼうと決意されるまでには、どのような経緯があったのでしょうか。
当時は子育ての最中にあり、学びたい気持ちはありながらもすぐにスクールへ通うことは難しい状況でした。それでも、いつかきちんと学びたいという思いは、心の中に持ち続けていました。
そんな中、京都に住む父と母の持病が同じ時期に悪化し、やがて父は他界しました。終末期の父を前にしても、当時は何もしてあげることができず、強い悔いが心に残りました。
父を見送った経験を通して、介護アロマをきちんと学びたいという思いが、自分の中ではっきりと形になりました。
その後、スクールでの学びを修了します。母の介護が続き、子どもたちとの時間も大切にしたい中で、無理なく続けられる働き方を考えるようになりました。
そこで、自分の生活に合わせて柔軟に動ける働き方として、まずは地域のマルシェへの出店から始め、やがてサロンを開く道を選びました。

サロン施術と訪問ケアの二本柱で、地域に寄り添う
——現在は、どのような形で事業を運営されているのでしょうか。
現在は、サロンでの施術と訪問ケアの二本柱で運営しています。
サロンにお越しいただく方としては、私と同世代以上の方を中心に、主婦の方や子育て中の方などを想定しています。日々の暮らしの中に無理なく取り入れていただけるよう、短時間でも受けていただきやすいメニューをご用意しています。
集客はInstagramを主軸にしながら、予約サイトの整備も進めているところです。マルシェへの出店やSNSでの発信を中心にしていて、広告に大きな費用をかけるというよりは、自分の言葉で少しずつ知っていただく形を大切にしています。
訪問ケアは、地域のご高齢の方のお宅や老人会などで行っています。加えて、お子さんの発達に不安を抱えておられるご家庭に伺うこともあります。

相手の声に耳を澄ませることが、「寄り添う」の出発点
店名に込めた思いを、日々の関わりの中で形にする
——サロン名の「yorisoi」には、どのような思いが込められているのでしょうか。
心と体に寄り添う、という思いを込めています。
私にとって「寄り添う」とは、先入観や思い込みをいったん脇に置き、相手のお話を丁寧に聞きながら、その奥にある気持ちをくみ取ることです。
目の前の方がどのように感じておられるのかを受け止め、共感しながら向き合うことだと思っています。
——日々のお仕事の中で、特に大切にされていることを教えてください。
サロン名に込めた思いを、日々の関わりの中で形にしていくことです。相手の気持ちに寄り添うことを何より大切にしています。
例えば、ご高齢の方に施術をしていると、普段はあまり多くを語られない方が、ぽつりぽつりと「気持ちがいいなあ」と仰ったり、昔のお話を聞かせてくださったりすることがあります。
言葉を交わす時間が少しずつ深まるたびに、心を開いていただけているのかなと感じます。
長く迷った時間を越えて、ご縁が次の一歩を後押しした
——ここまで挑戦を重ねてこられた中で、最初の一歩を踏み出すのは難しくありませんでしたか。
飛び込むまでには、本当に長い時間がかかりました。何年も悩んだ末、最後は「まずはやってみよう」と決めて一歩を踏み出しました。
実際に始めてみると、自然とご縁が広がっていきました。出会った方から情報をいただいたり、仲間と励まし合えたり、アドバイスをいただいたり。そうした一つひとつの出会いが、前に進む力になっています。

空き状況に左右されないひと部屋が、子育てとサロン運営の安心を支える
近くで継続して使える一室が、働きやすさと信頼につながった
——レンタルオフィスRe:ZONEを知ったきっかけと、選ばれた理由をお聞かせください。
Instagramの広告や「シェアサロン」という言葉で検索を重ねる中で、自然と見つけました。
内容を確認すると、ひと部屋をまるごと借りられるにもかかわらず、費用はシェアサロンと大きく変わりませんでした。月々3万円ほどで利用できると知り、無理なく始められるのではないかと感じたのです。
シェアサロンでは、レンタルの空き状況、お客様のご都合、自分自身の予定という三つを調整しなければなりません。日々の動きに合わせて使える環境は、私にとって大きな魅力でした。あわせて、電気代がかからない点にも安心感がありました。
—数ある選択肢の中で、決め手になった最大の理由は何だったのでしょうか。
一番大きかった点は、自宅から近いことでした。周辺には病院やスーパー、商店街、住宅街があり、幅広い年齢層の方にお越しいただきやすい環境だと感じました。
加えて、子どもに何かあった際に、すぐ動ける距離にあることも大きな理由でした。子育てをしながら働くうえで、動きやすさと安心感を両立できることは、とても重要だと考えています。
——実際に利用を始めてから、働き方やお客様からの印象に変化はありましたか。
ありました。ひと部屋を継続して借りられるため、ご予約が入れば自分の予定に合わせて通うことができ、とても使いやすいと感じています。
マルシェに出店していると、お客様から「お店はどこにあるのですか」と尋ねられることがよくありました。拠点を持つことは、お客様に安心していただくうえでも大きな意味があるのだと思います。オフィスを構えられたことは、私にとっても大きな後押しになりました。

茶色い壁とグリーンを生かし、落ち着ける空間を少しずつ整える
——お部屋の設えも印象的です。空間づくりはどのように考えられたのでしょうか。
見学の際、まず印象に残ったのが茶色い壁でした。落ち着いた自然な雰囲気があり、植物とも相性が良さそうだと感じたのです。そこからグリーンを取り入れたり、Pinterestでサロンのイメージを調べたりしながら、少しずつ整えていきました。
家具や装飾品は、主にAmazonで探しました。拠点が近かったため、自転車で運んだり、車に積んだりしながら持ち込み、室内で組み立てました。
「ちょっと行ってこよう」と自然に言える場所へ
サロンで休み、日常で生かすケアを広げていく
——これから具体的に取り組んでいきたいことがあれば、お聞かせください。
現在は施術を中心に行っていますが、今後は小さな机を置いて、ご家族の方や介護施設で働いている方に向けた、日常の中で実践しやすいケアの講座も開きたいと思っています。
マンツーマン、もしくは二人程度までの少人数で、座学と簡単な施術をお伝えする内容を考えています。これから、少しずつ形にしていきたいですね。
本格的なケアは、自分では難しいと感じる方も多いと思います。ただ、暮らしの中に取り入れやすい方法であれば、無理なく続けていただけるのではないかと思っています。
疲れた時にはサロンでケアを受けていただき、日常ではご自身でもケアを少し取り入れていただく。そんな流れが生まれたらうれしいです。
——今後、サロンとして大切にしていきたいことや、これから自分の場所を持ちたい方へのメッセージがあればお願いします。
私自身、介護や子育てを大切にする日々の中で、自分の都合を優先することに、少なからず罪悪感を覚えていた時期がありました。
だからこそ、子育てやご家族の介護、仕事等に日々向き合っている方にも、気兼ねなく「ちょっと行ってこよう」と足を運んでいただける場所にしたいと思っています。
ご家族を介護されている方には、まずは息抜きの場としてお越しいただき、必要に応じてご家族へのケアも訪問でお手伝いできるよう、つなげていけたらと考えています。
また、地域でサロンやリラクゼーションの活動をされている方にも、このレンタルオフィスはおすすめしやすい場所だと思います。マルシェに出店されている方や、これから自分の場所を持ちたいと考えている方にとって、個室をリーズナブルな費用で使えることは大きな魅力です。
駅から近く、人通りも多いため、お客様にも足を運んでいただきやすく、これから始めたい方にとっても心強い環境だと思います。
