「IoT」はスマートスピーカーといった関連機器が一般に広まったこともあり、身近な言葉として浸透しました。このIoTの概念は生活だけでなく、ビジネス効率や安全性をも加速させてくれます。
具体的には部品在庫の管理を自動化したり、セキュリティを向上させたりコロナ禍で感染が起こりやすい状況を未然に防いだりといったことに使われています。今回はオフィスの効率化にも役立つIoTについて解説していきます。
あらゆるモノにインターネット接続機能を持たせる!IoTとは
IoTとは「Internet of Things」、モノのインターネット化を指す言葉です。モノのインターネット化とは具体的に解説すると
1.インターネット接続やデータ処理などにかかわる機能をモノに付与する
2.機能が付いた製品を店頭やECサイトなどで購入する
3.自宅やオフィスなどに配置された機器がインターネット接続を行う
といった仕組みで、モノがインターネット接続していろいろなことができるようにすることです。
モノの対象範囲に制限はなく、PC・スマートフォンだけでなく家電にIoT機能が搭載されているのも珍しくなくなりました。中にはインターネット接続しているとは思えないようなモノにまで、IoT機能が搭載される事例もあります。
またIoTには現実世界の情報をインターネットで扱えるデータ化するために、センサー機能が搭載されているのもポイントです。人感センサーや光センサー、ジャイロセンサーなどの各種センシング機能を活用することでリアルタイムに現実世界からデータを取得して、状況把握や機能の提供などへ活用しています。
IoTは5GやAIといった技術とともに、将来的なIT進化を支える技術として注目を集めています。
IoTのメリットとは?サービス創出にも役立つ
IoTには次のようなメリットがあります。
作業効率化が狙える
IoTではインターネット接続を行いながら、取得したデータを処理・活用する機能が搭載されています。
たとえばスマートフォンにアプリを入れてインターネットで家電と連携することで、照明を遠隔でON、OFFしたり温度を調整したりといった操作ができるようになります。さらにあらかじめ操作内容をプリセットとして保存して起動できるようにすることで、指定された日時や温度などのタイミングで操作が自動化されるのもポイントです。
こういった遠隔操作や自動化が可能となるメリットは、ビジネスでも有効活用されています。たとえば製造業では機械制御などをIoTなどを活用し自動化することで、人的ミスを防いで作業効率化へとつなげています。
省電力化につながる
IoTを活用すると、電源を簡単にOFFにしたり、必要なときにだけ起動したりできるようになります。
自宅やオフィスで電源を扱う機器を操作していると、どうしても無駄遣いしたり待機電力が気になったりしてきます。IoTを活用すると電力を有効活用しながら待機電力まで管理できるようになるので、自宅やオフィスの電力を節約できるだけでなくエコな生活を外部へアピールすることも可能です。
たとえばセンサーを活用してエアコンの温度を低過ぎず、高過ぎないレベルに調整することで消費電力量が最適化されます。
人件費を削減できる
IoTは作業工程の自動化・効率化にも役立つ技術です。
簡単な事例で言うと、メモを取らないといけない場合にIoT対応のアプリやスマートスピーカーなどを使うことで、忘れる前にすぐ内容を音声で保存できます。保存されたデータは簡単に関係者へ共有することが可能です。これによって今まで手書きでメモしていた手間が削減され、共有も楽になるので時間が短縮されるでしょう。
また遠隔で点検作業といった工程が済むようになるので、現地に人を置いておく必要がない分人件費の削減が大幅に実現できるのも特徴となっています。
未然にトラブルを防げる
IoT機器のセンサーを活用すると、未然のトラブルを防いで損害が発生するのを防ぐことができます。
たとえば設備の稼働データを数分、あるいは数時間おきで取得して処理することにより、異常が発生していないか、また将来的に不具合が起こってしまうリスクがどれくらいあるのかを把握することができます。これによってトラブルが起きてもすぐ対応ができるようになりますし、トラブルが起きるリスクを未然に排除して安定した設備の稼働を実現できるのがポイントです。
既存のビジネスに付加価値を付けられる
IoT化によって、エンドユーザーへ提供しているサービスを進化させることも可能です。こういった既存のサービスに付加価値を付けて提供する概念を、「デジタイゼーション」と呼ぶこともあります。
デジタイゼーションの事例としては、たとえばIoTの電子レンジが挙げられます。電子レンジの利用状況や使われているレシピの傾向などをデータで明らかにすることで、
- 利用状況によって機能を最適化できないか
- 傾向に沿った新レシピデータを追加できないか
といった施策を立案することが可能です。
また施策を実行する段階へ入った場合、電子レンジを回収せずともインターネット経由ですぐアップデートができる点もメリットになっています。データ基準で考えたサービスをすぐ提供できる環境を構築することで、エンドユーザーの利便性向上へとつながります。
データを利活用しやすくなる
IoTで取得した設備の稼働状況や周囲の環境データなどはすべて参照して確認することが可能です。こういったデータは現状のビジネスにどんな課題があるのか、またサービスを創出できるポイントがないかといった分析へ活用することができます。さらにクラウドで集めたデータと現実世界で集めたデータを統合して管理できるので、多様的に分析が可能となるのもポイントです。
データの利活用は政府も推奨しており、データ基盤で組織が活動できるようにする「DX」の基本ともなる仕組みを構築する際に重要となります。今のうちにオフィスのIoT化へ取り組み活用することで、DXへスムーズな歩みを進めることができるでしょう。
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IoTは、ビジネスやオフィスでどのように活用されているの?
ここからは、実際にビジネスやオフィスでどのようにIoTが活用されているのかを確認していきます。
訪問・修理サービス
ある訪問・修理サービスでは、社用車に部品を載せて訪問を行うサービスを提供していました。しかし部品が一部不足することで結局サービスを提供できず修理が不能になった、というケースが出ており課題となっていました。また部品を補充する拠点が多く、維持費に困っていたのも課題として挙げられます。
それがIoTを活用して社用車の部品管理を自動化したところ、リアルタイムに在庫の不足を感知して中央の向上から発送できるようになりました。これによって修理を確実に現地で遂行できるようになり、また補充の拠点を減らせるようになったのでコスト削減にもつながっています。
中小企業
中小企業ではテレワークでの社員入退出管理やセキュリティ向上などを狙えるよう、「スマートロック」を活用する事例が増えてきています。
スマートロックはドアごと取り替える、あるいは取付式の機器を外部からドアノブ付近へ設置することで使えるようになります。設置するとアプリ経由でBluetoothを使って開錠・施錠ができるようになったり、一時キーを発行して臨時で関係者へ開錠の許可を出したりできるようになるのがメリットです。
さらに不正な操作をデータで取得して確認することで、犯罪被害防止へつなげることも可能となっています。少額で用意できるスマートロックは多く、オフィスへ設置を行う事例は増えてきていると言ってよいでしょう。
まとめ
今回はIoTの概要やメリット、ビジネスやオフィスでの活用事例などをご紹介してきました。
IoTは生活だけでなくビジネスの利便性・作業効率性なども向上させてくれる概念です。将来的にはIoTを意識しなくても使っているような状況になってくるでしょう。
またレンタルオフィスでも外部取付機器を使ったり最初から設備に機能が搭載されている場所と契約したりすることで、IoTをビジネスへ活用できます。レンタルオフィスを借りる際はぜひIoTの活用も考えてみましょう。