社会保険労務士事務所ブリッジ代表。大学卒業後、一般企業で一貫して人事・労務の実務に携わる。本業のかたわら社労士事務所でも経験を積み、社労士業務の基礎を築く。先代の引退を機に同事務所を承継し、2024年9月に独立開業。給与計算と労使トラブル対応を強みに、就業規則の作成から相談業務まで幅広く手がけ、顧問先は開業当初の40社から現在100社超に拡大。レンタルオフィスRe:ZONEを拠点に、全国の企業へ自ら足を運びながら、数字に基づく実践的な支援を展開している。
インタビュー拠点:Re:ZONE 難波01

原点は企業の人事・労務。受け継いだ事務所に込めた「架け橋」の志
一般企業の人事・労務から、社労士の世界へ
——まずは、社会保険労務士のお仕事に就かれるまでのご経歴をお聞かせください。
大学卒業後、一般企業に入社しました。支店での勤務を経て、入社4年目に本社へ異動し、人事・労務を担当するようになりました。その後、別の会社へ転職しましたが、転職先でも引き続き人事・労務を担当し、一貫してこの領域でキャリアを重ねてきました。
転職後は、本業と並行して、オンライン対応の社労士事務所でも実務に携わるようになりました。社労士業務の基礎は、この事務所での現場経験を通じて身につけたものです。
——どのような経緯で独立されたのでしょうか。
長くお世話になっていたこの事務所の先代がご高齢となり、引退を決められた際に、「後を継いでくれ」と声をかけていただきました。その言葉を受けて事業を承継し、現在に至ります。
開業は2024年9月ですので、現在で2年と少しになります。開業当初の顧問先は40社ほどでしたが、おかげさまで現在は100社を超えるお客様とお付き合いしています。
事務所名「ブリッジ」に込めたのは「人と人との架け橋」。社長の先にいる従業員やご家族まで支える
——ブリッジという事務所名の由来を教えてください。
事務所名は、「橋」に由来しています。橋には土台があり、その支えがあってはじめて両岸が結ばれ、人と人とが行き来できるようになります。
私たちの仕事も同じで、企業と私たちを結ぶだけではありません。社長や担当者の先には、従業員の皆さんやそのご家族がいらっしゃいます。一人ひとりの生活まで担っているという自覚を持って職務を全うし、人と人との架け橋でありたいという想いを込めて、ブリッジと名付けました。

数字で経営に踏み込み、対話で選ばれる。給与計算からAI時代の集客まで
強みは給与計算と労使トラブル対応。数字を見れば改善点が見えてくる
——現在のお仕事で、特に注力されている領域があれば教えてください。
事業内容としては、申請業務から法定三帳簿(労働者名簿・賃金台帳・出勤簿)の整備、就業規則の作成、相談業務まで、王道の社労士業務を一通り手がけています。
強みの一つは、労使——労働者と使用者の間でトラブルが生じた際の対応です。長年お付き合いのある弁護士がおり、社労士として企業側の立場に立ちつつ、必要に応じて弁護士と連携した対応が可能です。
そして、特に注力しているのが給与計算です。給与計算をお預かりすると、最低賃金が守られているか、労働時間が正しく把握されているかといった職場の実態が、数字からすべて見えてきます。
——実態が数字で見える、というのはどういうことでしょうか。
離職理由の上位には「働きすぎ」や「賃金の低さ」が挙がりますが、これらはまさに給与計算の数字に表れる問題です。
実態が数字で見えていれば、改善の提案がしやすくなります。労働時間が長いのであれば増員を、賃金単価が低いのであれば利益との兼ね合いに配慮しながら処遇改善を、と具体的に提案できます。数字に基づいて経営に踏み込めることが、当事務所の強みです。
集客で一番大事なのは「キャッチボール」。AI時代こそ、会いに行くことが財産になる
——開業後の集客に悩む士業の方は多いと思います。集客で大事なことは何でしょうか。
最も大事なのは、キャッチボールができるかどうかです。質問に対して「私はこれが大事だと考えます」と自分の言葉で答える。言葉にすると簡単ですが、実践は意外と難しいものです。お客様となる方と言葉のキャッチボールができるか、この対話力が集客の前提になります。
そのうえで、具体的な手段としては、税理士事務所や弁護士からのご紹介に加え、銀行や商工会議所などに顔を出す活動を続けています。顔の見える関係を重ねるうちに、お客様がお客様を呼んでくださることもあります。
もっとも、開業直後は紹介の輪がまだありません。その段階では、いかにお客様と会えるかが勝負です。前職の人脈をたどる、なければビジネスマッチングに参加する——人と会う機会を自らつくるところから始めるのがよいと思います。
——業界の課題については、どのように感じていますか。
士業はAIに代替されると言われる時代ですが、私はAIと共存していくスタンスです。たしかに、AIに聞けばある程度正しい答えが返ってきます。しかし、相談者にとってそれは「機械の回答」にすぎません。
社労士は、人に関する国家資格です。だからこそ、いかに目の前の一人ひとりを見て答えられるか——「人を見る力」が問われると考えています。
オンラインが主流の時代ですが、私は日本全国どこへでも足を運び、対面を重視しています。直接お会いして話すことで生まれる、血の通った人付き合いを大切にしています。「会いに行くこと自体が無駄だ」という考え方もあるでしょう。しかし、一見無駄に思える往来こそが信頼を生み、やがて大きな財産になるのです。

開業は、経費を抑えた小さな拠点から。社労士が難波に構えた一室
条件は「個室」と「月10万円以内」。きっかけはInstagram
——どのような条件でオフィスを探していて、最終的に何が決め手になったのでしょうか。
もともとシェアオフィスに入居していたため、「次は個室で、賃料は月10万円以内」という条件で探していました。ただ、様々な物件を見学したものの、価格と内容が見合わないと感じるものが多く、なかなか決めきれずにいました。
そんな折、Instagramで偶然見かけたのがRe:ZONEさんです。そこから連絡させていただき、内覧したところ、とてもいいなと感じました。
賃料も予算内に収まりました。そして何より、妻が一番気に入ったのがRe:ZONEさんで、それが最後の決め手になりました。
——実際に入居されてみて、使い勝手や周辺環境はいかがですか。
とても気に入っています。特によいのは、完全個室で防音性が高い点です。雑音に妨げられることなく業務に集中できますし、施設も清潔に保たれています。
周辺環境も申し分ありません。駅からも近く、外出の多い私には便利な立地です。生まれも育ちも大阪で、学生時代から遊びに行く街といえば難波でした。社会人になってからもずっと難波に住んでいましたので、自分にとってはもう一つの地元のような街です。
堅い仕事だからこそ、切り替えを大事に。難波という街を選んだ理由
——「北の梅田か、南の難波・心斎橋か」で悩む方が多いです。難波・心斎橋エリアの魅力はどこにありますか。
エネルギッシュな点だと思います。同じ大阪でも、梅田は東京によく似ていて、スタイリッシュで整然としていますが、私にはどこか落ち着かない感覚があります。
その点、難波は繁華街ですので、気分転換のしやすい街です。
私はガジェットが好きで、仕事の合間にオフィスの近くにある家電量販店に立ち寄ることもあります。社労士は堅い仕事ですので、そうした息抜きができるのはありがたい環境です。
オンとオフを切り替えやすい点が、難波で働く魅力だと思います。
——スモールオフィスを借りて独立するのは、平田様から見て適切だと思われますか。
適切だと思います。抑えられる経費は抑えるに越したことはありません。私自身、外に出て動くことが多いため、拠点となる「居城」さえあれば、開業時から大きなオフィスを構える必要はない、というのが実感です。

目指すは「日本で一番有名な社労士」。本社はずっと大阪に
最後に物を言うのは、気持ちの強さ。焦らず、人脈を広げながら
——今後の目標や展望について教えてください。
自分の城を構えたからには、一番を目指したいと考えています。ひと口に一番といっても、規模や売上など様々な尺度がありますが、私が目指すのは「日本で一番有名な社労士」です。
名を全国に広げるためにも、いずれは東京にも事務所を構えるつもりです。ただ、本社はこの先もずっと大阪に置きます。私の生まれ故郷ですから。
——最後に、資格取得後のキャリアや独立を考えている方へ、メッセージをお願いします。
社労士になったことがゴール、という方は少ないはずです。例えば「大きな企業で活躍したい」「独立して自分の事務所を持ちたい」など、それぞれに思い描く姿があると思います。胸に抱いたその指針を、どうか忘れずに持ち続けてください。
根性論になってしまいますが、最後に物を言うのは、やはり気持ちの強さです。そのうえで論理的に備えるのであれば、今ある人脈を大切にしてください。
もし一歩を踏み出すことに迷いがあるなら、焦らなくても大丈夫です。様々なコミュニティに参加し、人脈を広げながら、着実に準備を進めていってください。
