自宅の一部を診療所として活用する自宅兼診療所は、初期費用を抑えながら開業できる方法として関心が高まっています。
通勤時間を削減できる、生活と診療のバランスを取りやすいといったメリットがある一方で、動線の設計やセキュリティ、集客など、住宅ならではの課題も少なくありません。
自宅兼診療所の開業を検討する際に知っておきたいポイントを整理し、自宅開業のメリット・デメリット、自宅以外の開業手段を解説します。
自宅兼診療所の開業を検討している人は参考にしてください。
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自宅兼診療所を開業するために知っておきたいポイント

自宅での診療所開業を検討する際に、知っておきたいのは下記の4つの点です。
- 自宅兼診療所の条例や法律
- 自宅兼診療所に適したレイアウト
- セキュリティ対策について
- 自宅兼診療所の集客
開業の可否や必要な準備を判断しやすくなるように、それぞれ解説します。
自宅兼診療所の条例や法律
自宅の一部を診療所として使う場合でも、通常のクリニックと同じように医療法に基づく構造・設備基準を満たす必要があります。
診察室や待合スペースの確保だけでなく、患者が安全に利用できる動線をつくることが必須です。
参考:厚生労働省「医療法」
また、開業場所によって診療所として使えるかどうかが変わります。
大阪市では、住居系エリアでも診療所の設置は可能とされていますが、他市町村では認められていないケースも。
駐車場の有無や、建物用途の確認など、各自治体が定める基準を満たす必要があります。
基準や条件は自治体によって異なるため、自宅兼診療所を検討した際には必ず先に確認しましょう。
自宅兼診療所に適したレイアウト
自宅兼診療所を開業する際には、生活空間と診療空間をどこまで切り離せるかという点も注意が必要です。
家族の生活動線と患者動線が交わらない設計が求められています。
診療所として使う以上、医療法に基づく構造・設備基準を満たす必要があり、診察室や待合室など、診療内容に応じたスペースを確保しなければなりません。
実際に自宅兼診療所を設計する際は下記が効果的です。
- 玄関を別にする
- トイレ・水回りを診療用と生活用で分ける
- 家族の生活音が届きにくい位置に診察室を配置する
早い段階で保健所に図面を相談し、指導内容を踏まえた動線設計を行うことで、開業後のトラブルや追加工事を防ぎやすくなります。
セキュリティ対策について
診療所には、電子カルテをはじめとする個人情報が集まるため、情報管理と防犯対策は欠かせません。
防犯対策に加え、カルテや書類の保管場所を限定し、外部の人や家族が触れられない状態を保つことが重要です。
同時に自宅兼診療所では家族のプライバシーを守ることも必須。
診療と生活のスペースを物理的に分けることで、互いに影響しにくい環境を確保できます。
自宅兼診療所の集客
自宅兼診療所は、「立地のわかりにくさ」や「看板設置の制限」から集客で悩みやすい という特徴があります。
特に住宅街では、診療所の存在が認知されにくいことが課題です。
自宅兼診療所ではデジタル施策を中心に集客することが有効です。
Googleビジネスプロフィールの活用、診療科や地域名を含めた地域SEO、口コミの管理などは、近隣住民に見つけてもらうために必須となります。
ただし、自宅という属性上、立地の課題を完全に解消することは難しい場合も。
テナント開業やレンタルオフィスでの開業は、この課題を補完できる選択肢として検討されています。
自宅兼診療所を開業するメリット

自宅の一部を診療所として活用する方法は、開業スタイルとして人気が高いです。
自宅兼診療所ならではのメリットを紹介します。
家賃や移動コストを抑えられる
テナントや医療モールでの開業と比べると、固定費の負担を大幅に減らせます。
賃料を支払う必要がないため、資金計画に余裕が生まれます。
また、通勤が不要になることで、日々の移動時間や交通費が削減され、診療や生活に使える時間を増やせます。
生活と診療の距離が近く時間効率が良い
自宅と診療所の距離がゼロになるため、準備・片付け・移動にかかる時間が短縮されます。
往診医や在宅医療を行う場合も、自宅を拠点としてスムーズに動けるため、効率的なスケジュール管理が可能です。
子育てや介護をしながら診療を続けたい場合にも相性が良く、働き方の柔軟性も高まります。
地域に密着した医療を提供しやすい
自宅での開業は、近隣住民にとってアクセスしやすく、地域に根ざした医療提供に向いています。
患者のフォローや生活に寄り添った医療ニーズに応えやすい点もメリットです。
長く続けることで住民との信頼関係が築かれ、口コミによる来院につながるケースもあります。
小規模でも開業しやすく継続性が高い
自宅兼診療所は、小規模スタートが可能で、ランニングコストが低いため経営のリスクを抑えられます。
固定費が大きくないことで、診療時間をフルに確保できない時期(育児・介護・体調など)でも継続しやすいのが特徴です。
診療所開業の自宅以外の選択肢

自宅兼診療所はメリットも大きい一方で、動線設計やセキュリティ、集客面に課題が残るケースも。
課題への対応策として、自宅以外の形態での開業という選択肢も知っておきましょう。
自宅兼診療所と比較されやすい3つの選択肢を紹介します。
医療モールでの開業
医療モールは、複数の科目が集まる医療施設として整備されており、相乗効果による集患が期待できる点が特徴です。
薬局が併設されているケースも多く、患者の動線が一本化され、利便性も高いです。
すでにクリニックが複数入居しているため「医療を受ける場所」として認識されやすく、住宅街よりも集客がスムーズなケースも。
設備も医療向けに整えられていることから、大規模な内装工事を必要としない場合もあります。
ただし、モールは立地が商業エリアや大型施設と隣接することが多いため、賃料が高い傾向 で、自宅開業と比較すると固定費の負担は大きくなります。
テナントでの開業
テナント開業は、ビルの一室を借りて診療所として整える方法です。
メリットは下記の3点です。
- 患者に認識されやすい立地を選べる
- 医療広告ガイドラインに配慮した範囲で看板を設置しやすい
- 将来的な増床・内装の自由度が確保できる
エレベーターやバリアフリー設備が整っている物件を選べば、幅広い年齢層の患者が来院しやすい環境を作りやすくなります。
一方、賃料や共益費が固定費として発生するため、集患が軌道に乗るまでの資金計画が重要です。
テナントの種類によっては、防音工事や水回りの増設が必要になる場合もあります。
レンタルオフィスでの開業
レンタルオフィスは、これまでビジネス用途が中心でしたが、近年は個室型・防音設備付き・専用区画型など、医療業務にも転用しやすい物件が増えています。
初期費用を抑えた開業手段として選ばれるケースも多いです。
ただし、保健所登録が必要な事業は利用できない場合も。
医療に該当しない健康相談・カウンセリング事業を運営する際におすすめの選択肢です。
レンタルオフィスを選ぶメリットは下記の3点です。
- 賃料がテナントより低いケースが多い
- スピード開業が可能
- 清掃・設備維持などの手間が少ない
自宅兼診療所の「動線」「セキュリティ」「集客」の課題を避けつつ、コスト面も抑えやすいため、小規模スタートの選択肢として覚えておきたい方法です。
保健所登録不要の事業をミニマム開業する際の拠点の比較表
オンライン診療の普及により、保健所登録が不要なクリニックのミニマム開業が広がっています。
初期費用の負担も少なく、自由度の高い働き方として多くの医療者に支持されています。
ただし、オンラインのみの自宅での開業でも、住所の公開や作業環境の確保など、手軽さと引き換えに課題があるのも事実です。
この課題を解消するために、近年では「自宅以外の場所を拠点としたミニマム開業」を選択する人も増えています。
自宅以外の拠点としておもに利用されるのは、個室のレンタルオフィスやバーチャルオフィス、賃貸物件です。
住所の利用有無や安全性を比較したので参考にしてください。
| 自宅 | 個室の レンタルオフィス | バーチャルオフィス | 賃貸物件 | |
|---|---|---|---|---|
| 住所利用 | ||||
| オンライン診療 実施可否 | ||||
| プライバシー 安全性 | ||||
| 初期費用 ランニングコスト | ||||
| 時間の柔軟性 | ||||
| 向いている人 | コストを最小 にしたい人 | 信頼性/環境/住所を 整えたい人 | 自宅とは別の住所 が必要な人 | コストをかけても 専用の個室が必要な人 |
レンタルオフィスならRe:ZONE(リゾーン)

保健所登録不要の事業を開業する際に、コストを抑えつつ信頼性の高いプライベートな空間を確保したい、と考える人もいるでしょう。
そのようなときに選ばれているのがレンタルオフィスです。
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オンライン診療やカウンセリングにも適した静かな環境が整っています。
敷金・礼金が不要で、インターネット利用料もかからないため、開業時のコストを最小限に抑えながら、事業用住所と個室スペースを同時に確保できる点が大きな魅力です。
法人登記が無料の拠点も多く、自宅住所を公開したくない医療者でも安心して運営できます。
完全個室で温度調整も自由に行えるため、診療・面談・事務作業を落ち着いて行える環境を整えたい方にも最適です。
実際に訪問看護や訪問介護の事務所、デンタルクリニックの事務所としても利用されています。
設備や室内の雰囲気、実際の個室の使い勝手は、内覧でじっくりご確認いただけます。
保健所登録不要の事業の拠点としてふさわしいか、必要な環境を整えられるか、ぜひ一度現地でご体感ください。
利用者の声や活用事例については、以下の記事でもご紹介しています。
▼ Re:ZONEでの開業事例・お客様の声はこちら
まとめ
自宅兼診療所の開業は、コストを抑えながら生活と診療を両立できるメリットがあります。
医療法に基づく構造・設備基準を満たせば開業は可能で、自宅という環境を生かした柔軟な働き方が実現できます。
一方で、生活動線との干渉やセキュリティ、集客といった課題が生じやすいことも事実です。
後から間取りを変更したり、設備を追加する必要が生まれるケースもあるため、事前の計画と自治体への相談が欠かせません。
こうした課題から、開業形態は自宅だけでなく、医療モール・テナント・レンタルオフィスといった選択肢の中で、働き方に合った方法を選ぶことが重要です。
個室型で設備が整ったレンタルオフィスも増えており、保健所登録不要の事業を始める場合の選択肢となりつつあります。
- 開業時の初期費用
- 毎月のランニングコスト
- 生活との両立
- 将来的な拡張性
- 集客のしやすさ
上記を総合的に検討して、自分の診療スタイルに合った場所を選ぶことが、長く続くクリニック運営につながります。



