オフィスを借りて営業を行っている方は、将来退去する際に原状回復の費用が掛かります。原状回復は一般の方が1人暮らしで賃貸を借りる際にも関係してくる言葉ですが、オフィスの場合少し性質が違うので注意する点も異なります。
また原状回復費用が相場より高くなっている可能性もあるので注意しましょう。
今回は原状回復とは何か、そしてレンタルオフィス退去時の相場や料金をチェックするポイントを解説していきます。
・原状回復とはそもそも何?
・原状回復で相場より高い費用を払いたくない
という方はぜひご覧ください。
要はオフィスを「借りる前の状態」へ戻す!原状回復とは
原状回復とは簡単に言ってしまうと「賃貸を自分が借りる前の状態へ戻す」ことです。
オフィスを借りた後は機材を設置したり床材を上から貼り付けたりと、業務によって必要なカスタマイズを行うでしょう。しかし新しくオフィスを借りる方にとって、前借りている人の機材や床材といった資材が残っているのは邪魔です。そこで新しくオフィスを借りる方がスムーズに入居作業ができるように、退去時にオフィスを原状回復して借りる前に戻す必要があるのです。ちなみに原状回復は法律で義務化されています。
原状回復の範囲は契約時に取り交わした「賃貸借契約書」に細かく記載されているのが基本です。
・オフィスの経年劣化による破損
・想定される使用環境・使用方法による損耗
などは仕方なく発生することであり、原状回復の対象にはなりません。
しかし原状回復について賃貸借契約書で取り交わされていなかった費用が追加されたりと、トラブルが起きることも少なくはないです。そこで国土交通省では原状回復の項目において参考になるように、「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」という文章を公開しています。
原状回復をめぐるトラブルとガイドラインには法的拘束力はありませんが、原状回復について疑問が発生した際に参考になる箇所が多数含まれています。気になる方はぜひご一読ください。
規模や立地などによっても違う!オフィスの原状回復の相場
オフィスの退去時に掛かる原状回復費用の相場は、オフィスの規模(坪数)や立地条件などによっても変わるので注意してください。あくまで参考として相場の事例を出すのであれば、
・小規模の場合:3万円~5万円
・中規模の場合:5万円~7万円
・大規模の場合:8万円~12万円
といった感じになります(いずれも坪単価ベース)。
ただし上記の金額から2倍違うといったように、相場から余りにも請求金額がかけ離れているケースでは、工事業者があえて高く料金を見積もって請求している可能性もあります。
ある程度料金相場を知った上で、不当な金額を提示されていないか判断できるようにはしておきましょう。
原状回復の費用には何が影響する?高くなる原因を確かめてみよう
オフィスの原状回復の費用には、次のような要因が影響してきます。要因によっては相場より原状回復費用が高めになってしまう可能性があるので、事前にチェックしてトラブル回避につなげましょう。
大きく内装を変更している
大きく内装を変更している場合は、当然ながら原状回復するのに手間が掛かるので相場よりコストが高くなります。
たとえば飲食店では水回りを変更するケースがありますが、水道関係の原状回復を行う場合費用が高くなってしまう可能性が高いです。またパーティションとして壁を追加した上で新しい部屋を追加する、昇降機能といった特殊な機能を設備に追加するといったケースでも原状回復が高くなってしまう可能性があります。
経年劣化や通常の損耗が込みになってしまっている
経年劣化や想定される環境・使用方法でのオフィス損耗は通常原状回復の対象ではありません。しかしあくまで原状回復の定義の中でのことであり、貸主が賃貸借契約書で「経年劣化や損耗についても原状回復に含む」と記載していれば別です。経年劣化や通常の損耗まで費用へ込みになってしまい、原状回復費用が相場よりも高額になります。
多少の経年劣化や損耗に対しては仕方がないと思って諦められるかもしれません。しかし思ったよりずっと費用が高額に上乗せされている場合は交渉の余地があります。
原状回復を超えた工事が行われようとしている
たとえば
・壁紙がちょっとだけ剥がれている
・床がちょっとだけ汚れている
・天井がちょっとだけすすけている
といったケースの場合、修繕費用はそこまで高額にならないはずです。しかし貸主の意思によって、「床を全面張替えしよう」といった内容の工事が行われてしまう可能性もあります。
本来原状回復は元の状態へ賃貸を戻すだけ、というのが概念になります。そこから飛躍して費用を借主へ押し付け、床を全面張替えしてオフィスの価値を上げようとするのは褒められた行為ではありません。
このためどんな内容の工事が行われるのか具体的に調べておく必要があるでしょう。
業者が貸主から指定されている
工事業者が貸主から指定されているケースも注意が必要です。
複数工事業者を選んで相見積もりができれば、そこに市場原理が働きます。そして価格を下げて受注をしようとする心理が工事業者間で働けば、原状回復費用を抑えやすくなるでしょう。
ただし借主が信頼性のない工事業者へ発注を行うのを防ぐといった目的で、貸主が最初から工事業者を指定してしまっているケースもあります。
指定されている場合でも提示金額をうのみにするのではなく、価格を低くできるように借主側から働きかける必要性も出てきます。
見積もりがどんぶり計算である
借主側が見積提示の際、足元を見られてしまうケースも少なくありません。つまり工事業者側で「この借主は見積金額が分からないだろう」と考え、不当に高い原状回復費用を請求しようという心理が働く可能性があります。
通常見積もりには現地に赴いて状況を確認するといった作業が必要ですが、手間の掛かる作業を嫌がる工事業者も存在します。どんぶり計算ではじき出された金額をうのみにしないように、借主側でも知識で武装を行っておく必要があるでしょう。
余計な出費を抑えよう!原状回復費用をチェックする際のポイント
余計な原状回復費用を払わないで済むように、次のポイントを押さえておきましょう。
契約書類は事前によく確認する
確認不足で交渉を行うのは不利です。ですからまずは契約書類の内容をよく確認して、原状回復に関してどのような項目を貸主が定めているのか把握するのがポイントになります。
・不当な範囲まで原状回復対象になっていないか
・工事業者は取引面や価格面で信頼できるか
といった点を賃貸契約時に確認しておけば、未然に原状回復のトラブルを防げる可能性があります。
オフィスに余計な手をなるべく加えない
レンタルしているオフィスはあくまで借りものです。業務用にカスタマイズしたい気持ちもあるでしょうが、原状回復の問題がある以上所有オフィスのような大きなカスタマイズは避けるべきです。
・すぐ取り外しできるパーティションを使う
・床材の上に何かを直接貼り付けるのではなくカーペットを敷き詰める
といった方法だと、元にすぐ戻せるので原状回復の対象にはなりにくいでしょう。
見積内容を確認して必要な場合は交渉を行う
工事業者から見積もりが来た場合は、
・新品の設備をまた交換しようとしていないか
・余計な大規模工事を行おうとしていないか
・共有スペースにまで費用を請求していないか
といった点から内容が適切か確認しましょう。
そして問題がある場合は臆せずに交渉を行う算段も立てておく必要があります。「こうだからこういう風に内容を改善して、費用を下げてほしい」というように原因と根拠、希望などを冷静に伝えられるようにしておくと安心です。
自社のスキルが心配な際は、交渉を手伝ってくれるコンサルティングサービスも存在するので利用を検討してみましょう。
また費用を下げたい場合は、複数業者へ相見積もりする方法も有効です。貸主を説得できる場合はぜひ相見積もりしてみましょう。
粗大ごみの処理について
原状回復時には粗大ごみの処理は賃借人の義務になります。可能であれば自分で処理を行う事が理想ではありますが、専門業者に依頼をした方が費用が安く、時間も早く済むことが多くあります。
特にオフィス移転などの忙しいタイミングであれば、依頼した方が得することが多い可能性が高いです。
・自治体の粗大ごみ回収を利用
・クリーンセンターに持ち込む
・不用品回収業者に回収を依頼する
・フリマアプリ/リサイクルショップに売る
※参考サイト:不用品・粗大ゴミ回収なら高価買取ありで即日回収の片付け侍
引っ越しの粗大ゴミの処分方法!自治体で間に合わないときの対処法も解説
まとめ
今回はオフィスを借りる際にかかわる原状回復、そして相場や料金チェックのポイントなどをご紹介してきました。
オフィスを借りる際は、契約に何となく目を通してはいけません。原状回復についても不当な内容で契約してしまわないように、事前に書面で内容を確認しておくと安心です。また業者と場合によっては交渉を行う、可能な場合は複数業者へ相見積もりしてみるといった方法も有効です。
レンタルオフィスサービスの「Re:ZONE」は原状回復費用が必要ありません。退去時にご負担いただくのはクリーニング費用のみなのでリーズナブルです。
気になる方はぜひご相談をお願いいたします。